こんなことをして何の意味があるのか。意味なんてない、とすれば、どういうつもりで?
全国大会が終わってから宿泊施設に戻り、部屋で荷物を詰めていた。他のメンバーは室内におらず、ノックの音がしたので出てみたら四天宝寺の男が立っていた。やたら笑顔で、大きいのに自分のような威圧感はない。
しかしそんな奴だからといって友達でもないし、何のために来たのか心当たりもない。不思議に思っていると中に入ってもいいか問われて、いい、と言ってしまった。てっきりそれで理由を言うのだと思った。
「知念君は、どこのベッド使ったと?」
「…そこ」
指を指すと綺麗に直したシーツへ飛び込まれた。
「気持ちよか!知念君も来なっせ」
やめさせるために側に寄ったのに、引っ張られてベッドに倒れてしまった。波打つシーツの上でのし掛かられる。
「俺は千歳たい、知念君」
「ちと、せ…っ重い、」
横向きになっていて骨盤の浮いたところに千歳の足の骨が当たっていた。ちょっと痛くて退けて欲しいと示唆したが、千歳は退かずに、なんと股間を押し付けてきた。
急に柔かい感触があって、もしやと見てみたら密着していたのだ。驚いて千歳を見ると、顔赤かーとのんびり返された。
「ち、千歳、ぬーしてるばー!?」
「知念君に、…当ててる」
そう囁いてきたかと思えば腰を揺すってきた。
ひどい、どういう嫌がらせだ。
しかも硬くなってきた。
混乱してシーツを握り思考を巡らせようとするけれど無駄、で。
ぎしぎしと鳴るスプリング。
耳に掛かる千歳の息。
骨に当たる性器。
訳が分からない。
「セックスごっこばい、知念君。声ば出してみて」
なんで?無理だ、そんな遊びはしたくないし。荷物だってまだ片付いていないし。誰かが帰ってくるかもしれないし。
「や、だぁ…」
「…可愛い」
可愛くない。退いて。なんだかよく理解出来ないけどやめて。
千歳って見た目よりずっと変な奴だ。
遊びということにしておこう
2012/03/26