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「あんたって、意外と手が大きいんだ」


「そうかな、自分じゃ分からない」


「大きいよ。その可愛らしい顔とは裏腹にな」


「可愛らしいは余計だろ」


「陛下、眉間に眉を寄せては、せっかくのお可愛らしいお顔が台無しですよ」


「うるさいな。で、いきなりなんだよ、ぼくの手が大きいなんて」


「いや、気になったから。というか、指が長い」


「人と比べたこともなかったし。そうなのか、ぼくは、指が長いのか。初めて知った」


「ま、指が長かろうと、おれよりは小さいな」


「きみよりぼくの方が背が低いから、きみより手が小さいのは、当たり前だろう。きみは……手も綺麗だな、古傷はあるけど。まるで彫刻みたいな手だ」


「おいおい、あんた彫刻なんて見たことあるの?」


「ないけど」


「見たこともないのに何故分かったように言うんだ、あんたバカか」


「だって、彫刻は理想像を具現化した物だろ。彫刻は美をとことん追求して生まれるって。それに、この間読んだ本でも、彫刻のような美しさって、表現されてた。だから、きみの手はそれほど奇麗だって」


「ああ、もういい、あんたがおれを愛してるのは十分に分かった。分かったから、そのチンパンジー並みの語彙力しか発揮しない口を閉じろ」


「ネズミ」


「なんだよ、口を閉じろって」


「やっぱりきみは奇麗だ」


「……」




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