08 みぞのかがみ

話したいことも、訊きたいこともたくさんある。しかし、どんなに問うても、声を聞きたくても、彼らはハリーのことを、哀しげな目で見つめるだけだった。
あなたはどんな魔法使いだったのだろう。あなたは、どんな魔女だったのだろう。

だけどほんとうは、ただ共に夜を過ごすようになって、そんなことは少しづつ、どうでもよくなってきている。
ハリーは、せめて両親が自分を抱き締めてくれることを願った。自分で自分を抱き締めていたころより強く、ひたすらに。
体温を感じたかった。
ペチュニアおばさんが、いつもダドリーにするようなキスに、いまも憧れている。

大人にはほど遠い細い指が、それを求めて伸ばされる。冷たい鏡の表面にぶつかった。

どうしてそっちにいるの。

(ねぇ、)









「また来たのかい、ハリー」





最後にもう一度だけ振り返ったハリーは、名残惜しさを無理やり振り払うように、透明マントを頭から被った。その姿を、ダンブルドアと彼女は扉が閉まるまで見届ける。

「少し、可哀想でしたね」

思慮深い瞳で扉を眺めるダンブルドアは、同意するかのようになにも言わなかった。

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