04 副管理人の仕事

最初は毛嫌いしていた管理人のフィルチも、彼女が来てから仕事が楽になったと喜んでいることは、風の噂になった。そうして余った時間で、猫のミセス・ノリスをますます溺愛しているらしい。
実際、彼女は素晴らしい動きで、ホグワーツでずば抜けて悪戯好きのウィーズリー兄弟を、追い詰めていく。

ただそうなると、彼ら双子はおとなしくなると思いきや、逆に張り合いを見いだし、やる気と悪戯の悪質さを増幅させていくので、結果よかったのかどうかは、誰にもわからない始末だった。
ハリーも三人の追いかけっこを一度か二度、見かけたことがあったが、鬼のような双子はむしろ、このうえなく楽しそうだったのだ。

「刺激的だよ。彼女に追いかけられると、ほんとうに捕まりそうになるからね」
「フィルチじゃ物足りなかった、スリルがある」

ある日、グリフィンドールの談話室でフレッドとジョージが文字どおり、口を揃えてそう言っているのも耳にした。

目まぐるしい新生活のなか、彼女と話す機会は、ハリーはなかなかやってこなかった。挨拶も交わせていない。
広大なホグワーツ城では教室の場所を覚えるだけでも大変な作業だったし、一方で彼女は、彼らのような一年生を教室に案内したり、先生に頼まれると授業の準備から後片付けもした。ダンブルドアの宣言通り、中庭や校庭の花壇には花が植えられ、野菜畑の世話も日課となった。そうしている合間にも例の双子はほとんど見境なく悪戯を仕掛け、逃げるので追いかけて、罰則の監視も任せられる。雑用も山と積もれば、毎日が大忙しだ。まるで、余っている仕事を片端から詰め込まれたようだった。「副」とは名前ばかりのフィルチ以上の働きぶりだという。

それだけのことをしていると、しかし誰も気がつかないだろう。
着ている白のシャツブラウスは、いつも清潔だったし、彼女の周囲にはどんなときでも独特な、静寂した時間が流れている。
とくに、仕事の手を休め、中庭で本を読んでいる姿は、太陽さえ空を渡るスピードを緩めているかのようだった。
ハリーもそんな場面に出くわせたなら、声を掛けることが出来たかもしれない。そんなふうに本を読んでいる彼女のところへ決まってやってくるのは、豊かな栗色の髪を持つ女の子だった。

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