俺とカップ麺と彼女


時刻は昼時。夜は色々と盛り上がり、二人揃って十二時まで寝ていた。そんな休日の昼食は簡単に済ませるのが俺たちの当たり前。
まずはケトルで湯を沸かす。その間にカップ麺の蓋を開けて、包装されたソースなんかを取り出す。過去に何度か、液体ソースを取り忘れたまま湯を注ぎ、散々、無い無いと騒いで蓋を開けて見つけた時にはサラに盛大に笑い飛ばされた。個人的に、ソースも温まるし良いのでは、とポジティブに考えたが、もう失敗はしない。

ケトルのスイッチがカチッと音を立てて戻った。沸騰した湯がケトルの中で暴れている。そのままケトルを持ち上げて、熱々の湯をカップに注ぐ。熱い湯気が立ち上がり、味付けのされていない乾麺の独特な匂いがした。

「お腹すいたね」
「ああ。もうすぐ出来るよ」

互いに寝癖をつけたまま。
俺はサラを後ろから抱きしめてカップ麺を見守る。「まだかな」と待ちきれないサラの頭にキスを落としながら、「まだだよ」と宥めた。食いしん坊なサラが可愛い。俺の腕を甘噛みし始めたサラに、なんとも言えない幸せを感じた。

単純な奴だ、と思うだろう。だが俺はこんな時間も愛しくて大好きなんだ。


-Fin-




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