夜の国際空港の到着口で、降機する人波を、少しだけ背伸びをして待つ。その傍らにはベビーカーがあり、先程満腹になったばかりの我が子はベビーカーに取り付けられたおもちゃで機嫌良く遊んでいる。

優衣の目当てとする相手。それは夫のエルヴィンだ。エルヴィンは優衣の出産を見届けた次の日から半年の海外出張に出て、彼の誕生日の今日、帰国だ。

優衣の身内は、エルヴィンが海外出張へ出たあと、優衣に対して「ほらね、やっぱり。日本人と外国人じゃ感覚が違うのよ」「出産直後の嫁さんと、幼子置いて海外なんて。間違った結婚になるって言ったでしょう」「子どもの記憶に残る前に離婚した方がいい」なんて、口を揃えて非難の言葉を浴びせた。

産後半年、それに耐え、毎日怒涛の“独り”での子育てに、何度か感情的にエルヴィンに泣きながら電話をした。その度に時差がありながらも、エルヴィンは時間が許す限り、面倒だとも言わず、そんな雰囲気も出さず優衣の話に耳を傾け続けた。


「……は、あ……っ、」

優衣は、待ちに待った瞬間に喉の奥が突然締まり、顔を中心に体が熱くなるのを感じた。目頭が熱くなる。

「……優衣!」

一目見てすぐに駆け寄ってきてくれたエルヴィン。二人は人目も気にせず、互いの体を掻き抱いた。
止まらない涙をエルヴィンの胸の中で零す。

「会いたかったよ優衣。この半年、よくやってくれた。……ありがとう、本当にありがとう」

そう言ってから、エルヴィンの片腕が優衣から離れて、ベビーカーの方に体が傾いた。

「……やあ、君にも会いたくて仕方なかったよ」

優衣はエルヴィンから離れて子供を抱き上げる。

「パパだよ」
「初めまし……いや、久しぶり、か。産まれた日に抱っこして、それ以来だな」
「おっきくなったでしょ?」
「ああ、本当に。まるでタイムスリップしたみたいな気分だ」

エルヴィンは子供と優衣、二人を抱きしめてキスをする。

「愛してるよ」
「うん、私も愛してる。……エルヴィン、」
「ん?」
「お誕生日おめでとう」
「……ああ、ありがとう」
「誕生日、間に合って良かった」

エルヴィンはもう一度二人にキスをして、「さあ、早く家に帰ろう」と言って、空港を後にした。

車を運転しながら、助手席に座るエルヴィンがうたた寝するのを呼吸で感じる。なんだか不思議だった。無意識に顔が熱くなってしまう。

暫くして、自宅に到着し、まだ飛行機の匂いが残ったままのエルヴィンを揺り起こすと、腕を掴まれてキスをした。熱を含んだキスに思わず車で変な気を起こしてしまいかけたが、後部座席の子供が上げた、一瞬だけの泣き声で互いに我に返って止めた。

「……帰ろ」
「……ああ」

帰宅して、子供をベビーベッドに寝かせてリビングに向かう。エルヴィンは風呂に入る為にバスルームに向かった。

夜も更に深まり、あとは寝るだけ。
エルヴィンも風呂から上がってきて、ふと見れば髪が濡れたままだ。

「エルヴィン、髪」
「ん、ああ」

タオルをエルヴィンから取り、ソファーに座ったエルヴィンの頭をドライヤーで乾かし始めれば、「すまないな」と笑った。

「あっちではずっと仕事ばかりで、シャワーを浴びたらバスローブで頭もろくに乾かさずに仕事してた」
「ええ、風邪引いちゃうよ……大丈夫だったの?」
「基礎体温は高いから大丈夫」
「そういう問題じゃないよ……。エルヴィンは、“これ!”ってなったら自分のことなんて放ったらかしになりがちだから……心配してたんだよ。これからはちゃんと乾かしてね。はい、出来たよ」
「ありがとう、これで寒くない」

髪の隙間から覗く瞳。少しぎこちない笑顔を向けられる。駄目だ、久しぶりだから恥ずかしい。

すぐに優衣は視線を逸らしてタオルを洗濯機に入れて回す。乾燥機付きだから、朝起きたら乾燥した洗濯物を畳めばいい。

リビングに戻れば、エルヴィンがまたうたた寝をしている……訳でもなく、スマートフォンをいじっている。グラフなんかが度々見えるのは、仕事関係だろう。

「……エルヴィン、私もう寝れるけどどうする?」
「……ん、ああ」
「あっ、そうだ、お誕生日会は明日改めて……」

スマートフォンの画面を閉じ、立ち上がった。そのまま優衣に近付いて、腰に腕を回して引き寄せる。

「あ、ちょっと、エルヴィン」

エルヴィンがキスをして、首筋にもキスを落とす。まずい、このままでは……セックスしてしまう空気だ。

「待ってエルヴィン、あのっ、……あっ!お、チビちゃんがっ……」
「ベビーモニターがあるだろ。それに、泣いたら俺が行くよ」
「いや、その……、違、待って、」

駄目だ、今……というか、暫くはセックスしたくない。
産後に、気分的な話でセックスしたくなくなるという、アレではない。なんなら凄く……エルヴィンが今すぐ欲しい。
だってかなり久しぶりだ。妊娠中から会えなかった半年を含めてもう一年はしていない。

心の中ではもう、欲しくて堪らないのに。
どうしてもしたくない理由は、優衣の体にあった。

「……何故拒むんだ」

完全にスイッチの入っているエルヴィンの瞳。その男を感じる視線に、心臓と下腹部はもう痛いくらいにキュンキュンとして、エルヴィンを欲しがっている。

……めちゃくちゃにして欲しい、そう言ってる。

エルヴィンの鋭い視線でまた更に酷く身体が火照っていく。

「……ダメ、だから……」
「何故だ」

パジャマのボタンに指を掛けて服を脱がそうとするエルヴィンの手を掴んだ。

「おっ、お願い、暫くは、ダメ……!」

優衣はエルヴィンに背を向けて言うと、エルヴィンは優衣の異変に漸く気が付いた。

「どうした?久しぶりで恥ずかしいのか?」
「……えっと、そう、なんだけど……」

優衣が頑なに拒む理由、それは、体型の変化にあった。
産後にたるんでしまった腹、更にここ半年のストレスで度々暴飲暴食してしまい、完全に腹が出てしまったのだ。それに二の腕や、内ももにも肉が付いた。妊娠線もある。
顔も前より丸くなった筈だが、エルヴィンは言わないだけできっと気がついているはず。

「その……体型が、気になるから……もしするなら服は着たままが……いい」
「愛し合う為のセックスに体型なんて関係ないだろう。俺は気にしない」

エルヴィンは後ろから、優衣の胸を揉んだ。腰の辺りに、エルヴィンの勃起したペニスが当たり、身体が期待する。
エルヴィンは優衣の言葉をきちんと受け入れ、服を無理に脱がそうとはせず、服を着たまま、パジャマの胸元だけボタンを外して直に乳房に触れる。

「こうされたら感じるのは変わらないのか?」

乳首を指の腹で転がされながら耳を愛撫される。

「ぇう、あぁぁ……」
「はは、赤ん坊みたいだな」
「うう……んっ、はあ、すご、っ、ちくび、だ、め……ぇっ」

乳首に耳、更には腰辺りをペニスが押す。
その状況に優衣の膣は既に収縮し、勝手に愛液を溢れさせる。

「ぅ、ふ、える、び……っん!」
「んん……?」
「おち、んちん、舐めっ、ひゃ、い、っ」
「はは、うん、分かった」

なんとかエルヴィンをソファーに座らせ、優衣は床に膝を着いて座り、エルヴィンのパジャマのズボンにテントを張らせる原因を取り出した。

久しぶりに見るペニスは余りにも太く、ずっしりとしており、優衣の身体の中が早く貫いて欲しいと疼く。それを黙らせるようにペニスにしゃぶりついた。

「んぐっ……!!」
「ごめ……っ、痛かった?」
「いや、久しぶり過ぎて……つい、」

口元に手を当てて顔を背けたエルヴィン。

世間では、出張中の不倫話は後を絶たない。
当たり前に自分の夫が必ず不倫をしないと信じているが、そう言われるとかなり嬉しくなり、ペニスを根元近くまで咥えてみせた。

「は、ぁ……っ、いやらしいな……すごく、良い、っ」
「ん、ふふ」
「喉締めて、そう、上手だ」

優衣は少し引き抜いて亀頭だけを口の中で舐めれば、エルヴィンは嬉しそうに息を漏らす。
唇を窄めながら、亀頭の先から唇で食みながら裏筋を吸う。そのまま睾丸をひと舐めして、口に吸い込んだ。

「はあっ、あぐ……っそんなのどこで、っ」
「こへ、っ、これ気持ちいいの?」
「視覚的に物凄く興奮する、しっ……ん、っ!?」

優衣が睾丸を優しく舐めながらペニスを扱けば、エルヴィンのペニスが更に硬く勃起した。

「はわ、んむ、っ」
「見、るな」
「エルヴィンが見るから、私も見てるんだよ」
「っ口が……上手くなったな」
「エルヴィンのお陰かもね」

優衣は笑いながらまた裏筋へ舌を這わせると、ペニスが大きく揺れ、エルヴィンは強く短い息を吐いた。

筋を少しだけ舐めて離れると、エルヴィンは頬を撫でてきた。熱の篭った視線に自然と立ち上がって、引き寄せられるままにキスをした。

「ね、エルヴィン……」

エルヴィンは優衣に言われると、察したエルヴィンは抱いたままソファーに寝かせてキスをする。

「腰を上げて」

腰を上げれば、すぐにパジャマのズボンが脱がされる、が。

「待って……あの、」
「ああ、分かってるよ」

全て脱がされるのは嫌だ。だから必要な部分だけ。

「そんなに気になるのか?」
「うん、ちょっと、本当に……恥ずかしい」

エルヴィンは優衣と真逆の体型だ。
しっかりとした筋肉に、引き締まって見るからに美しい身体。優衣の身体とは、真逆だ。

「エルヴィンが引き締まってるのに、私はこんなにだらし無い身体になって……見せるのも……嫌だ」
「そうか……」

会話しながらも、エルヴィンのペニスが膣口とクリトリスを行き来して身体に甘い痺れが走り、すぐに先程感じた羞恥よりもそちらに集中する。


「気持ちいいことに集中すれば、恥なんてすぐ忘れるぞ」
「ん、や……、じゃ、あ、早く、」

エルヴィンは一瞬だけ、亀頭を膣に挿入し、すぐに抜き出した。それだけで大きな喘ぎ声を上げてしまい、折角引いていた熱が再び酷く蘇っていく。

「んん、確かに……」

そう言ってまた、一瞬、中にエルヴィンが入る。

「あ"!!う……っ、はあっ、あ、」

ズボンを中途半端に脱いでいるだけの優衣は、両足を抱えるような体勢でエルヴィンを受け入れようとしている。
このまま奥に貫かれたら、そう考えるとまた子宮が疼き、膣がうねった。

「膣内が少し……むっちりしてるかもしれないな。お前が気にしているのはこれか?」
「言っちゃ、や、だ……!」
「もう暫く、お前の身体をじっくり見ていないんだが、本当に見せてくれないのか?」

エルヴィンが中に入ってきた。
久しぶりだからか、みちみちと音がしそうなくらいに膨張したペニスが奥を目指して侵入する。

声が出ないくらいに気持ちいい。
ゾクゾクして、頭にまで鳥肌が立って、呼吸も忘れるくらいに。

トンッと、子宮口に亀頭が当たると、漸く呼吸が蘇り、エルヴィンの腕を掴んだ。

「あ、ぁ……待ってよ、こんなに、おっきかった……?」
「どうかな。俺だけが原因じゃないと思うけどな」
「それっ、てどういうっ……んあ!!」

腰が引かれると、体内にある異物感が無くなるのがはっきりと分かる。

「久しぶりだし、ゆっくり慣らそうな」
「あ……あ、ぁ、入っ……奥、ぅっ」

押し拡げられる感覚に体を捩れば、エルヴィンが肩をソファーに押し付けた。

「顔、見せて」
「ひ、いや、」

拒むがすぐに顔を掴まれ、エルヴィンは一度腰を引き抜いて強く打ち付けた。一瞬、何が起きたか分からないくらいに快感が頭まで突き抜け、遅れて身体が仰け反った。

「はは、いい表情をしてる……」
「ひぐ、んっ、ん……」
「えらく絡み付いてくるな……そんなに、いいのか」

エルヴィンに押し潰されながら、ペニスが抜けてしまうギリギリまで引き抜いて、またその分、時間を掛けて奥へと押し込まれる。

「や、イッちゃうっ!!だめ、それ……っ、」
「知ってるよ、好きだったよな」

俺も好きだ、と呟いて優衣にキスを落とす。キスをしながら、膣壁を味わうように、押し潰すように腰を入れた。
息が苦しくなった優衣は顔を背けて呼吸するも、先程同様に顔を掴まれて再び口付ける。

「ぎ、もち"、い……っ、」
「……ああ、俺も、」

エルヴィンの首筋には汗が滲んでいる。それ目掛けてキスをして、舐める。膣内で可愛らしく反応したペニスに小さく笑えば、「何か?」とエルヴィンも笑った。

「エルヴィン、愛してる、っ」
「愛してるよ、」

視線が絡むと、下から強く突き上げられて濁った声が押し出された。
見つめ合ったまま、エルヴィンは律動を激しくしていく。

「えるび、ん"、あ"っ、は、おっき、の、気持ちい、う"っ、」
「やめろ、っ、言葉だけでイキそうになる」
「へ、へ……っ、あ"っ、あぁっ!!」

エルヴィンは両膝の裏に手を入れ込み、足を大きく開脚させた。

「みっ、嫌、待ってお腹見えちゃっ……あぁまっ、で……よっ」

エルヴィンは何も返さないままで、ひたすら最深部目掛けて腰を打ち込んだ。
きっと限界が近いんだ、優衣もペニスが擦れる度に内ももが震え、閉じようとする。それは叶わないまま、だらしない喘ぎを垂れながら出入りするペニスを眺める。

「ひゃ、あ"、いぐ、えるび、イッぢゃ、っ、イッちゃう、」

エルヴィンが強く腰を打ち込んだ瞬間、自分も、エルヴィンも何かが弾けるように震え、止まった。すぐにエルヴィンが、脱力した優衣からパジャマのズボンを脱がせた。

「っあ"、あぁ……あ……っ」
「っ次、動いて」

エルヴィンと繋がったまま、身体を起こされて膝に座る。
まだ達したばかりで動けるはずも無い優衣は、震えながら足に力を入れるが全く話にならない動きにしかならない。

「ほら、」

尻を叩かれて、膣が締まるのを感じた。

「動け」
「む、り、動けない、よ……っ」

そう言って、なんとか回復してきた足の筋肉を震わせながらも、エルヴィンの為に腰を振る。

エルヴィンを自分の好きな場所に擦りつけていると考えれば、口の端から唾液が垂れそうな程に気持ちが良くなってくる。

「ああ、だらしないな……母親がする顔じゃないぞ……」
「やめ、て……ぇ、」

腰の動きはそのまま、エルヴィンにキスをされて唾液が飲み込まれていく。

「可愛いよ、早く会いたかった……」
「わたし、も……」
「日本を離れてから半年、会いたくても会えずに苦しかった。お前がひとりで育児をしているのに何も出来ない状況に俺は、何度、っ歯痒く……、思っ、たか……、」
「でも、私、エルヴィンが電話しっ、ん"……ずっと電話し、はっ、して、くれてたから、頑張れた、よ……っ」

たった二人だけのリビングで、内緒話のような二人の会話。その会話よりも大きな粘液の混ざる音が響いて、次第に二人は黙って吐息だけを漏らす。

「……なあ、身体が見たい」

優衣が強い快感に止まった時、エルヴィンが言った。

「でも、」
「……脱がないなら……、今日限りで、もう二度とセックスしないぞ」

優衣の身体が勝手に震えた。
“二度としない”、その言葉に強い衝撃を受ける。
急いでエルヴィンを見上げれば、また鋭い視線が落とされていた。身体が固まる。恐怖で固まった訳じゃない。身体が、エルヴィンから与えられる快感を取り上げられるかもしれない、その焦燥感と絶望を彼の瞳に感じ取って静止した。

優衣はエルヴィンを見たままゆっくりと、パジャマのボタンに手をかけた。震えながら、ボタンを穴に通し、ひとつ、またひとつと外す。
完全にボタンが外れ、エルヴィンが「次は?」と視線で聞いてくる。

優衣は目を伏せて、パジャマを掴んで左右に開いていく。涙がぽたぽたとエルヴィンの腹に落ち、深く掘られた美しい腹筋の溝を流れてどこかへ消えた。
意識的に腹を引っ込めたことで、腹にはセルライトの窪みが出てきてまた涙が出る。完全に脱いだパジャマ。久しぶりに、子供以外の人間に身体を晒した。

エルヴィンは優衣が頼りなく腕を通していたパジャマを奪い、床に落とした。優衣は小さく呻いてもじもじと身体を隠すが、エルヴィンに腕を掴まれ、体の横に降ろされる。

「……腹の力を抜け」

エルヴィンの声に膣が締まる。耳がゾクゾクとして、力が抜けてしまいそうだ。

気持ち、力を抜いてみせる。

「……まだだろう」
「う、」

小さく力を抜く。
徐々に出る腹に、身体が震える。
恥ずかしい、遅い来る羞恥心にまた涙が零れる。

嫌われちゃう、エルヴィンに嫌われちゃう……!

そう思うが、エルヴィンが「まだ力を入れてるな」と囁いて尻を叩いたことで、一気に力が抜けてしまう。

完全に力が抜けて出てきた腹を見たエルヴィンは黙る。

「や、だから……駄目って……」

嫌われた。幻滅された。
そう考える優衣とは裏腹に、体内に残ったままのペニスが徐々に膨張するのを感じる。

「……は?え?」
「駄目だな、」

エルヴィンが呟き、優衣を乱暴にソファーに再び寝かせた。

「恥じているっ……お前に、興奮した」
「は、ぁっ!!あ"!!いやあ!!」

エルヴィンが腹の肉を掴んで腰を打付ける。

「コレが、バレたくないから、あんなに拒否して……。俺がお前に幻滅するとでも、思ったのか?」
「や"っ、ん"、奥、ばっか、だめえっ!!」
「逆だ、体型を恥じて隠したがるお前に興奮し、ペニスをおっ立てる変態なんだ俺は……っ、」

エルヴィンの話をなんとか聞き入れながら、優衣は達してしまいそうになる。

エルヴィンがこの体型でも、興奮する?
そんな、こと……ありえない、なんて……勝手な思い込みだった……?

「はは……、泣いてるのか?堪らないな……可愛いよ優衣、最高だ……っ」
「いじ、わる……っ!」
「……知ってて一緒にいるんだろ」

そう言われて酷く興奮する。
エルヴィンが腹の肉に指を埋めながらウエストを掴んで、骨盤に手を引っかけて腰を打ち付けた。

「あ"んんっ!!」
「この半年分の運動をしないとな……!」

優衣の身体を横に向かせ、そのまま挿入する。

「はあ……締め付けすぎだ、優衣……」
「ん"、う"……」

エルヴィンが尻の肉を叩き掴んで、腰を揺らす。

「あ"、も、イキたい、よぉ……っ、エルヴィン、イキたい、イかせてえ……っ」
「俺はまだ眺めていたいが……」

エルヴィンが前傾し、優衣に口付けながら腰だけを動かして膣壁を擦る。

「如何せん、お前に甘くしてしまうのが昔から俺の悪い癖でな」

優衣は甲高い声を幾度か上げ、再びキスをして離れた時に「イク」と呟けば、「……可愛い」とエルヴィンが深く口付け、優衣は愛を受けながら深く深く快感の渦に飲まれた。

震える優衣から離れ、エルヴィンは片足を肩に担いで律動する。呻く優衣の口に指を突っ込んで舌を掴めば、まただらし無い喘ぎ声と一緒に唾液がソファーに垂れた。

「……はあ、あ……可愛い、優衣、愛してるっ……は、っあ"……」

小さく喘いだエルヴィンは、子宮に精液を届けるようにゆっくりと大きなストロークで果てた。
優衣の真横に頭を落としたエルヴィンは、ゼェゼェと息をしている。

視界が酸欠でぼやけたまま、エルヴィンに震えながらキスをすれば、重たそうな頭をどうにか動かしてエルヴィンが口付けてくれた。舌の表面さえ、感じてしまう。膣が、まだ挿入されたままのペニスを締め付けた。

「……暫くこのまま」
「……うん」
「一回、優衣の中で萎えてみたい」
「あは、なにそれ……」

そう言いながら、なかなか萎えることがないペニスをわざと締めてやれば、「こら」と冗談めいたお叱りをもらう。

「……幻滅、した?」
「いや、全く。むしろ興奮したが、何故そう思ったかの理由を聞きたかった」
「……だって、妊娠前は今より細かったでしょ。今、みてよ。あ、見ないでね……っこら、掴まないでっ」
「正直俺は今まで少しぽっちゃりした女性に、何かしら魅力を感じたことは無い。別に嫌いでもなかったが、好きでもなかった。なんなら妊娠前の優衣の体型が自分の中で一番好きだったはず」

優衣の二の腕を掴む。

「痛、いよっ、エルヴィンっ」
「だったんだが、久しぶりにお前を見た時に、何故だろうな……、女性として今までよりも凄く魅力を感じたし、頑なに服を脱がず、恥じて涙を見せながらも、“恥ずかしいところ”を俺に晒した優衣に酷く欲情した。……幻滅、したか?」

膣の中で、またペニスが勃起するのを感じる。膣も膣口も、エルヴィンでいっぱいになっていく。

「は……あっ……、」

最初と変わらない硬度のペニスで、許しを乞うような表情のエルヴィンにキスをした。

「……しないよ」

知ってるくせに。
私も、エルヴィンが変な人だって知ってて、ずっとずっと愛してるんだから。
今更こんなことで幻滅したりしないよ。

「……体型、恥じらう必要は全くないからな。俺がこの世界でたった一人、一番に愛している女性が優衣であることには変わりないんだから」
「……嬉しい、」
「可愛いな。なんだか少し泣き虫になったか?」

涙を流す優衣の額にキスをするエルヴィン。

エルヴィンがそうやって甘やかすからだよ。
優衣は心の中で言ってエルヴィンと唇を重ね、再び彼に身体を委ねた。


──翌日。

「パパ!お誕生日おめでとう!」
「ありがとう」

プレゼント、ケーキに、エルヴィンの大好物。
そして、互いにノンアルコールで乾杯する。
まだ幼い我が子とは、ミルクで乾杯を。

「エルヴィンまでノンアルにしなくても良かったのに」
「……ん、優衣が飲めないのに、俺が一人で飲む意味はない。もう暫くは一人で酒は飲みたくないしな」

困った様に笑うエルヴィンに「そっか……」と笑うと、突然エルヴィンが「……そして、懺悔があるから聞いて欲しい」と言ってきた。

「……まさか、」

不倫、の二文字が頭をよぎり、傷付く。

「……ああ、そうだ」
「っ……そん、な……ひどい、私信じて、たのに……」

涙が溢れ、声を出して泣き始めると、エルヴィンが焦って「何か勘違いしていないか?」と言ってきて、涙はそのままにエルヴィンを見た。

「……あちらでの生活で、優衣とチビに会えないストレスで暴飲暴食していたせいで明らかに太ったんだよ」
「ど、どこが」
「ほら」

エルヴィンが差し出したスマートフォン。
鏡の前で腹を出して自撮りするエルヴィンの腹は、腹筋の凹凸もほとんどなく、全体的にもっちりとした印象がある。

「日本を発って、三ヶ月で十キロ増だ」
「じゅ……っえぇぇ!!?こっ、えぇ!?」
「昔から太りやすいんだよ……。帰国を前に、お前にいい格好したくて取り急ぎではあるが断酒し、ジムに行って自分を追い込みながら作ったんだ、この体は……。昨晩、酷く興奮したのは間違いないが、そうでなくてもお前にどうこう言える立場じゃないんだよ俺は」

カッコつけの見苦しい悪足掻きだ、と本気でしょぼくれて乾いた笑いを零すエルヴィンの横にいき、腹を撫でる。

「見苦しいなんて、そんな……。……ねえ、これ。ずっと体型変わらないなって思ってたのに、努力の塊だったんだ。本当に、エルヴィンってよく自分にストイックにできるよね」
「ストイックなら暴飲暴食はしないさ」
「増やす事は簡単だけど、減らすのは本当に難しい、分かるでしょ?……私にはここまで出来ないもん、ほら」

エルヴィンの手を腹に押し付けると、手が重く腹に沈む。

「私はエルヴィンに体さえ見せず、痩せたらまたスキンシップもとればいいって、甘えて今まで過ごしてた。幻滅されるかもって思いながらもね。だから、エルヴィンは本当すごいよ、私の為なんでしょ?見苦しくも、悪足掻きでもない。私は嬉しいよ。だから私もエルヴィンの横にいても恥ずかしくない女になるね……だから少しだけ、ちょっとだけ時間ちょうだい」

二人で笑う。

「優衣程、素敵な女性は世界中どこにもいないな。……優衣」
「……ん?」
「これからも変わらず俺の隣で、こうして誕生日を祝ってくれるか?」
「っうん、もちろん!エルヴィン、生まれてくれて、出会ってくれてありがとう」
「……ああ、こちらこそ、ありがとう……!」

額を合わせて仲睦まじく笑い合う両親には目もくれず、哺乳瓶を手にミルクを飲み終わった我が子。その小さな手が床に空の哺乳瓶を落とす音で我に返った二人はまた、照れた笑いを我が子に向け、一日遅れの誕生日会を再開した。


− Happy Birthday deer Erwin /Fin −



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