感情が溢れて止まらず、サカズキは抵抗する名前の両手首を片手で押さえ込んでソファーへと押し倒した。馬乗りになったサカズキが興奮すればするほど体温は上がり、名前の両手首は赤くなる。


「いたい、はなしてください!元帥!」

「…黙っちょれ」


低く唸るように呟くと名前は身体をびくりと跳ねさせて唇を真一文字に結んだ。空いている手が服を掴み、肌を露わにさせる。どうして、と涙を流す名前はされるがままに抵抗を諦めた。










「婚約が決まりました!」


食堂で意気揚々と告げた名前は同僚から拍手が送られ、質問攻めにあう。相手は誰、という質問に嬉しそうに答える彼女を遠くから見ているのは元帥、サカズキだった。表情には出さないが、周りの気温が上がり、触れていた壁には溶けた跡が残る。サカズキ、と呼ばれはっと我に返ると振り向く。


「どうしたんじゃ?元々おっかない顔が更に険しくなっとるぞ」

「…ガープ、」

「何を見て……、ああ、名前か。今年中には寿退社するみたいじゃのう。めでたいわ」

「…退社、なんか」


ガープに移していた視線を再び名前に向けると、表現しがたい、ドス黒い感情が沸き上がった。ガープに見回りに行くと告げると足早に外へと向かう。すれ違う海兵はいつも以上に険しい顔をしているサカズキを恐れ、道を開けて誰一人話しかけようともしなかった。



相手の男は誰だろうか、何故自分はこんな感情になっているのか、ぐるぐると様々な考えを巡らせながら海岸を歩く。歩いた後の砂は太陽光を浴びるよりも熱くなっていった。


日が暮れ、頭も大分冷えた頃に海軍へと戻る。執務室へ向かう途中に見たくない姿があった。


「サカズキ元帥!」


耳に心地よい声が響き、あろうことか自分へと駆け寄る。来るな、と言えずに立ち尽くした。何故来るなと思うのか自分の考えがまとまらず、その間にも名前は近寄り、手の届く距離になる。…そして感情が爆発すると腕を掴み、執務室へと引きずるように連れて行った。








どうして、と涙を流す名前はされるがままに抵抗を諦めた。馬乗りになった男に勝てるはずもなく、手首は熱く、痛くなっていく。服や下着は脱がされ、サカズキの発する熱に露出した肌が汗ばんだ。無言で胸を口に含まれるとぴくりと身体が反応し、熱い舌に反応する。


「さ、かずき、げん、す、い、ぁ、んん、…いやぁ…っ」

「……」


名前を呼ばれちらりと視線をやるがすぐに視線を伏せてねっとりと舌を這わせた。小さく漏れる甘い声にぞくりとしながらゆっくりと、侵食するように愛撫していく。
抵抗する素振りがなくなったのを確認すると手首を離した。掴まれた痕はくっきりと手の形を残し、赤くなっている。痛みに眉を寄せる名前に息が上がるのを感じたサカズキの体温は更に上がった。


執拗な愛撫と舌に名前の感覚は麻痺していく。気持ちいいという感情と共に沸いた罪悪感は消え、快楽に支配されていた。身体は従順に与えられる快楽に反応し、下腹部を濡らしていく。
するりとサカズキの手が太股を撫で、内腿、脚の付け根へと這っていった。閉じようともがく脚は間にある大きな身体に遮られる。


「げん、す、い」

「…は、嫌じゃと言う割にはええ声出しちょるのう…」


目を細めながら口角を上げると名前はそっぽを向いた。熱い指が濡れたそこをなぞると躊躇いもなく挿入させる。異物感に眉を寄せる横顔を見下ろしながら根本まで進めた。


「ぅぅ…っ」

「きついのう…経験無いんか」

「貴方には、関係ありません、ッあ!」


貴方、と呼ばれたことに苛立つと指を増やし、無理矢理中を広げる。耐えきれず涙を流す名前にも罪悪感は浮かばず、ただ広げることだけを考えた。痛みのあまり再び抵抗を始めた名前を押さえつけて行為を進める。


どれほど時間が経ったのか。名前の声に艶が混じり、ぐちゅぐちゅと粘着音が聞こえるようになった。そろそろいいかと指を引き抜くとたぎる自身を濡れるそこへと擦り付ける。


「や…っ」

「嫌じゃと言うても、もう止まらん。…全部、おどれが悪いんじゃ…」


じたばたさせる脚をものともせずに無理矢理挿入させた。切り裂くような鋭い痛みが一瞬で消え、鈍痛が名前を襲う。目をぎゅっと瞑りながら痛みに耐えるもすぐに律動が開始された。


「ぁ、あ!いや、いたい、げんすい…っ!」

「は、…止まらん言うた」


鮮血が滑りを良くし、何度か律動が行われるとすんなりと受け入れるようになる。ゆるゆると腰を動かす動作から、だんだん激しくなっていく。突き上げられる度に無意識に出る婚約者の名前に、サカズキの体温は上昇した。


「そんなに、アイツが良いか」

「あっあっ、やだ、たすけて…モモンガさん…っ」

「助けなど、来るはずないじゃろう…」


自分を見ない名前に苛立ちを募らせながら自身の限界を感じたサカズキは、押さえつけている腕に力を込めて荒々しく腰を打ち付ける。いやだと涙を流す姿に目を細めながら奥へと白濁液を吐き出し、首筋に噛みついた。痛みと熱さに目を見開き、声をあげようとするが口内に鉄の味が広がって目眩を起こす。次いで何か焼けるような臭いが鼻を刺激した。

サカズキを見上げた名前の瞳には口周りを赤く染め、咀嚼する姿が映る。

何が、どうして、声が、私、と様々なことを一瞬で考えるも再び揺さぶられて思考が停止した。意識が朦朧とする中で首を噛まれたのだと理解し、虚ろな瞳で見上げて意識を手放す。サカズキは魂を失った彼女を揺さぶり続け、二度目の欲望を体内へと吐精した。

噛みついた際に無意識にマグマとなっていたのか、噛み痕は焼け爛れている。
咀嚼し続けた肉片を飲み込み、自身を引き抜いた。白濁した液が流れ落ち、彼女の脚は力無く倒れる。胸元に手を這わせると、先ほどまで動いていた心臓が止まっているのがわかった。最期に見たのが自分だと確信すると興奮したのか身体がふるりと震える。


「…わしのモン、じゃ」


冷たくなっていく彼女を口角を上げて犬歯をむき出しにしながら見下ろし、腕を掴んで起こすと愛しそうに抱き締めて目を瞑った。
どろ…、と皮膚から流れるマグマは彼女を包み込み、時間をかけて自身の能力で彼女を取り込んでいく。

静かになった部屋にはサカズキだけが天井を見上げて佇んでいた。
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