声が、笑った表情が、少し触れた手が、…全部がおれから離れない。


「あはは、ルフィおもしろい」

「そうか?名前の話もおもしろいぞ!」

「ありがとう!色々な島を見てきたからね」

「おれ達もいつか名前の行った海に行ってみる!」

「そうね、行ってみて!その前に、」

「「海賊王に!」」

「あはは!ルフィならなれるわよ」

「なれるんじゃなくてなるんだよ!」

「そうね、」

「お取り込み中申し訳ないのですが、名前ちゃん!デザートが出来ましたよ」

「サンジおれには!?」

「てめえのはキッチンだ。自分で取りに行け」


どたばたとキッチンに向かって行くゴムを見送って名前ちゃんの隣に腰掛ける。


「ありがとう、サンジくん。私、貴方のデザート好き」

「またとないお言葉!」

「…でもね、そのわざとらしい口調が嫌い」

「なんと!」

「私もルフィ達と同じ口調にしてほしい。…落ち着かない」

「…しかしなあ…おれはレディに対してはいつもこんなだしな…」


デザートのケーキを頬張りながらじぃっと見つめてくる名前ちゃんが可愛いのなんの。ときめくハートが痛い。


「…サンジくん。…私と一緒にいるの、嫌?」

「まさか!こんな可愛いと一緒にいて嫌なわけ、」

「だって、距離あるよ?…ナミさんと一緒にいるときはもっと近い気がするけど?」

「…それは」

「ねえ、…最近、夕食の時間が遅れてるってルフィから聞いたけど」

「……、」

「…これから推測するに、君は私のことが好きである!」

「!!!」

「…なんて」


イタズラに笑う名前ちゃんの声、フォークを置いて口元に手を当てて笑う仕草、…ああ、なにもかもがおれをおかしくする。


「サンジくん?」

「…そう、だよ。おれは君が好きだ。ナミさんとは違う意味で、恋愛感情で君が好きだ」


甲板に誰もいないことをいいことに、想いを告げた。


「君のせいで料理も手につかない」

「…サンジ、くん」

「…他のレディたちとは違うんだ。…ごめん。こんなこと言われても困るよな」

「…え、いや、すごく嬉しいよ」

「…え!?」

「え?!なに、嬉しくないとか思うわけないじゃん!…サンジくん素敵だし!」

「!!」

「船に乗せてもらってサンジくんの料理食べたとき、感動したんだから!」

「…え?」

「デザートもこんなに美味しいし、本当に素晴らしいコックさんだなって!」

「…ちょっと待ってそれは男としてじゃなくてコックとして、でしょ?」

「うん」

「ぁあぁああぁああああ!!」

「!?」


なんということだ…男としてじゃなく…コックとして…。思わず膝を抱えて体育座りをしてしまう。


「…いや…名前ちゃんに素晴らしいって褒めてもらったし…いいよな…」

「……、男としても好き、だよ」

「そうだよな…名前ちゃんがおれに興味なんて………え、ちょっと待った今のもう一回」

「男としても好きだって言ったの!レディにそんなこと言わせない!」

「…ご…ごめん…」


言われた言葉を自分の中で噛み砕く。…名前ちゃん、おれ、すき、おれ、名前ちゃん、すき。


「…サンジくん?」

「……マジっすか」

「なに、嘘にしてもらいたいの?」

「いやいや!!だって、ねえ!マジか…」

「…このまま私此処に居たいって思うくらい好き。…もっとサンジくんのこと知りたいし、いっぱい、一緒にいたい」

「!!!」

「…まあ、それは無理なんだけど」

「無理なわけねえよ!ルフィにはおれから頼んでおく!此処にいてくれ、名前ちゃん!」

「…いいの?そんな簡単に、」

「此処に、おれのそばに居てくれ」

「……はい、」


不安そうな表情からすぐにはにかんだ笑顔になって、…頭が真っ白になった。





はっと気付いた時は客間のベッドに名前ちゃんを組み敷いていた。


「……!?、!!?」

「サンジくん…君ね、強引すぎ」

「ごめん!」

「…いいんだけど…、此処で?客間だよ?」

「…此処のが静かだし、名前ちゃんのこと、よく見れるし」

「………うーん…まあ、妥協してあげよう」

「…とか言って、顔真っ赤だけど」

「うるさい。…早く、」

「名前ちゃん…」


真っ赤な顔を逸らして腕で顔を隠す。その仕草にときめきながら細い首筋へと口付けた。


「んっ、」

「…名前ちゃん、顔見せて」

「…やだ」

「目見ながらキスしたい」

「…!……ん、」


ゆっくりと手をどけて恥ずかしそうに視線を合わせた。嬉しくなって何度も名前を呼びながら口付ける。その間に手は胸元へ。柔らかい感触を楽しむと小さく可愛らしい声が聞こえた。


「…気持ちいい?」

「ぁ…、訊かないで…っ」

「かわいい」


突起をこねくりまわし、悶える名前ちゃん。自然と息が荒くなる。ゆっくりと、胸から下腹部へと手を滑らせ、下着越しにするりと撫でる。


「…濡れてるよ?」

「やぁ…!ばか、言わないでっ」

「可愛すぎてもうおれダメだ」


ごめん、と呟いて下着を脱がせ、熱い中に指を挿入する。蠢く中を堪能しながら広げたり、抜き差ししたり。悩ましげに悶えるのを見下ろして、慣れたであろう頃に引き抜いた。暴発しそうな自身をゆっくりと中へ。


「んんぅ…!」

「ごめん、大丈夫?」

「だ、いじょうぶ、…はぁ…、くるし…」

「大丈夫じゃないじゃん…名前ちゃん、」

「んっ、…待ってね、まだ動かないでね」

「うん。慣れるまで待つから、」


無理にでも揺さぶってもっと泣かせたいと思うのは最低だ。自分の中悪魔を殺して何度も、啄むように口付ける。


「…は…、ん、うごいて、いいよ」

「…ん、」


指を絡ませるように握り締めながら傷つけないようにゆっくりと突き上げた。何度か繰り返していくうち、吐息に艶っぽさも混じってきた。嬉しくなって深くしたり浅くしたりと揺さぶる。


「ぁ、あん、んっ、」

「…かわいい」

「やぁ、こえ、へん…っ」

「おれは好きだよ。興奮する」


真っ赤になって顔を背けると首筋が露わになって、たまらず顔を埋めて吸い付いた。どんどん息が荒くなると同時に喘ぎ声も切羽詰まったものになる。
愛しくて愛しくて、ぎゅっと抱き締めて突き上げると締め付けが強くなって、…二人で果てた。





その日は夕食がとんでもなく遅くなって皆に大ブーイングだった。






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