「名前!とっておきの話があるんだ。おれとジンベエの死闘…」

「興味無い」

「……死闘だぜ?しかもあの七武海のジンベエと!」

「うん。興味無い。オヤジの所行ってくる」


エースは今日も撃沈した。


「…それで、名前は何でエースの話を聞かねぇんだ?」

「だってねオヤジ。エースの話は誰かが傷付いて怪我してることが多いんだもん」

「グラララ!そりゃ海賊だからな。しかもエースは隊長だ」

「…だから、嫌なの。エースが怪我してるなんて悲しい」

「…グラララ…!恋する乙女はツラいな?」


一方撃沈したエースは。


「また振られたのかよい、エース」

「…うるせー。悪いかよチクショー…」

「そんなに名前の気ィ引きたいかよい」

「そうだよ。引きたいよ」

「珍しいな、エースが素直だ」

「サッチ…」

「名前は平和主義だからな。乱闘の話は嫌なんだろ。…そうそう、四時の方向にちっさいが竜巻発生したぞ」

「船に影響は?」

「んー、あれが成長しない限り大丈夫だ」

「…竜巻…いいこと思いついた!マルコ、名前を呼んでくれ!」

「は?おいエース何処に…」

「早く!」

「お、おお…」


エースは小舟を取りに、マルコは名前を呼びに行った。サッチはただ眺め、事の成り行きを見守る。


「名前、エースが呼んでるよい」

「…話があるなら行かないわ」

「いや、何かいいこと思いついたとかなんとかで小舟取りに行ったよい」

「小舟?グラララ!何を思いついたんだか小僧が…」

「敵船でもないですよね隊長?」

「まァ、戦闘ってわけじゃ…」

「…わかりました。行ってきます」

「名前」

「なに、オヤジ」

「…たまにはエース構ってやってくれ」

「……うん」


名前がマルコの後について甲板に出ると、サッチが手招きしていた。
早足でサッチに近寄り、エースは?と名前は問い掛ける。


「あのバカは竜巻んトコだ」

「は?!竜巻って…巻き込まれたらどうするの?」

「名前、エースがこっち向いて手ェ振ってるよい」

「バカ…!早く戻ってきて!!」


一人船上で慌てふためく名前とそれを見守る隊長たち。エースは遠目からそれを見ながら、「見てろよ、名前!」竜巻に向かって炎を繰り出した。


「あ、キレイ」

「ほう、竜巻と炎が上手く絡まってるな」

「そんな命張ってまで気ィ引きたかったのかい」

「能力者はあんなことも出来るのね。…って、巻き込まれたら終わりじゃない…!」

「まあそん時は名前が助けてやりゃいいじゃねぇか」

「そうだな。泳ぎ得意だろい」

「……」

「流石に長時間は無理みたいだな!引き返してきたぞ」

「…ちょっと、竜巻こっちに進んでませんか…」

「お、エースが何か叫んでる」




「「「 逃 げ ろ ? 」」」



「バカやろう!帆たためー!」

「信じられない!何やってんの!」

「オヤジに伝えろ直撃するぞ!」

「私も手伝いに…あれ!?竜巻エースに追い付いたってか直撃沈んだマジでか!行ってくる!」

「気を付けろい!!」













「ゼェ…ゼェ…死ぬかと思った…」

「バカエース!何やってんの!」

「いやー、名前喜ばせようと」

「バカ!本当にバカ!」

「グラララ…!それくらいにしとけ名前」

「だってオヤジ!被害は無いけど船巻き込まれたし、エース溺れたし!」

「すまん…」

「心配したんだからね?!」

「……」

「名前、エースも反省してる。いつも通りに戻ったしいいんじゃないかよい」

「…わかってる…ハァ…」

「でもよ、キレイじゃなかったか?あれ」

「…キレイだったよ」

「そうか、良かった!」

「…グラララ!はっきり言わねェとわからねぇよエースは」

「ん?何が…?」

「…わかった!エースよく聞いて」

「ん?!」

「…私が喜ぶのは、」





エースが無事なこと!




(…え、そんなんでいいのか?)
(そんなん!?これでいいのよ!)
(そっか…わかった!自然現象には逆らわないようにする)
(…違う…)
((災難だな名前…))



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