ノコギリザメ(鋸鮫)とは、ノコギリザメ目ノコギリザメ科 Pristiophoridae に属する、ノコギリ状の吻をもつ魚の総称。あるいはその中の1 種を指していう。
ノコギリザメの吻(頭の先端部分)は著しく変形し、ノコギリ状の構造物となっている。長く伸びた吻は平らで、両側に棘のような歯が多数並ぶ。歯は長いものと短いものが交互に並ぶのが普通である。
ノコギリザメは、この凶器を振り回すことで餌生物に傷を負わせて気絶させたり、あるいは真っ二つに切り裂くという特異な習性を持っている。主な餌となるのは、小魚やイカ、甲殻類などである。
また面積の広い吻の下側には生物電気をキャッチする小さな孔(ロレンチニ瓶)が多数空いており、砂の中にいるエビやカニなどを見つけて掘り起こして食べる。
吻には2 本の肉質のヒゲが生えており、捕食行動に関連していると考えられる。
本種は漁業上重要で、ノコギリザメの肉はサメの中でも上等とされている。
日本産のものの肉は加工されて、かまぼこなどの練り製品の原料になる。

(引用:Wikipedia)


「なるほど、そうなんですか。アーロンさんが食用にもなるなんてびっくりです」

「…殺されてぇか、名前」


名前は音読した本を閉じ、まるでどうぞ殺して下さいと言わんばかりの微笑を浮かべながらアーロンが腰掛けている椅子へ近寄る。


「…その本寄越せ」

「はい、どうぞ」


本を受け取りすぐさま破り捨て、此処へ来いと膝の上を指定した。
名前は大人しくそれに従い、アーロンの片膝の上に跨る。


「…どういうつもりだ」

「どういうつもりもありません。アーロンさん」


一般人ならば恐れをなして命乞いをしそうな睨みにも全く動じないのは自信があるからか。
名前はニッコリ笑いながらアーロンを見上げ、ただ本を読んだだけですよ、と言い放つ。


「…てめェ…」

「いいじゃないですか、読むくらい。アーロンさんはそんな小さなことで怒る魚人じゃないでしょう?」

「……」

「それとも…」

「もういい。喋るな」

「むが」


片手で口を覆うように掴めば間抜けな声が漏れた。


「…このまま頭を潰すことも出来るが…」

「んむー…!」

「…くだらねぇ」

「ぷはっ…!ほ、本当に潰されるかと思いました…」

「さっきまでは殺して下さいと言わんばかりの態度だったじゃねぇか」


名前の頭をガシガシ撫でると、嬉しそうな顔で見上げる。


「…アーロンさんになら殺されてもいいかな、なんて。でも」

「でも?」

「…アーロンさんと離れてしまうのは寂しいから、ちょっとだけ抵抗してみました」

「…シャーハッハッハ…!」

「わ、笑い事じゃないですよ。私にとっては…!」

「わかったからそう怒るな。これで相子、だ」

「…!」

「もう二度とあんな真似すんなよ」

「…はい」


散らばった本のページはそのままに。


(チュッ。…部屋入れないな)
(入ったら確実に殺される)
(ニュー!アーロンさんがあんな幸せそうに…!)


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