「…と、言うワケで、ベンがキッチンで時間稼ぎ役。ルーはその見張り、ヤソップは部屋前で見張りと、この時計を。…お願い出来る?」


三人は任せとけと言い、各々スタンバイした。名前は船長室、つまりはシャンクスの部屋に忍び込んだ。





「今夜も暑いなァ…水飲んだら寝るか…」

「お頭、部屋に戻る前に一杯どうだ?」


シャンクスがキッチンに入ると、ベックマンが話しかける。ルーは出入り口近くのテーブルで他のクルーと食事を始めた。


「お、いいな。よく冷えたモンが飲みたい」

「そう言うと思って冷やしてある」


気が利くな。ベックマンの計らいに感謝しながらシャンクスは出入り口に背を向け椅子に座る。

キュポン、…トクトク…

氷が浮かぶ。
グラスを持って歩く度にカラカラと涼しい音を立てた。1つのグラスをシャンクスに渡せば、乾杯とでも言うように軽くグラスを当てた。


「…んー!美味いっ!夏の夜はこれに限るな」


ベックマンも椅子に腰掛け、喉を潤す。出入り口付近のルーと目が合い、ルーはグッと親指を立てた。


「夏の夜?お頭の場合は毎日だろ?」

「それとこれとは話が別だ」

「ふーん…」

「にしても、今夜はやけに暑いな…風は殆ど無ェし」


暫くして、タッタッタッと廊下を走り回る音が聞こえた。こんな暑い中誰が走っているんだ?シャンクスは振り向き、出入り口を見た。
そこには名前が居て、シャンクスと目が合うや、


「バテてるみんなに名前からのプレゼント!納涼恐怖話大会を行うよ!」


と、笑顔で言った。


「…面白そうだな。お頭、行くか?」

「涼しくなりそうだ。行くか!」


二人はグラスを持って甲板へと歩いて行った。



シャンクスはまさかあんなことになるとは知る由もなかった…。
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