君の笑顔が好きだ。
笑顔がとても素敵です。
ずっと笑っていてほしい。
そんなことを言われ続けた私。

…笑顔なんて作り物にすぎないのに。

ふと、そう呟いたらソファに腰掛けていた彼から砂が舞い、離れて座っていた私を覆う。
それを視認した私は目を瞑り息を少し止め、直後に浮遊感。


「…名前」


彼が私の名を呼んだら目を開けて呼吸を再開。
私は彼の膝の上に居た。


「…何」

「クハハ…!おれの前では仏頂面だな」

「…別にいいじゃない」


どうせ貴方は気にしてないでしょう、とふてくされて耳を塞ぐ。彼が何か言っているけれど、気にしない。


「何も聞こえないわ」

「…仏頂面はおれの前だけでいい。お前の本当のカオはおれだけのものだ」


……。


「…顔赤いぞ名前。聞こえてるな?」

「聞こえない聞こえない聞こえなーい!」

「クハハハハ…!」


何てセリフを吐くのかしら。クロコダイルは愉快そうに私を抱き締めた。




笑わないのは貴方の前だけ



(…クロコダイル!)
(……オイ…笑うな)
(…ちょっとひどくない?この満面の笑みは人受けいいのに)
(…何か企んでいるとしか思えねェ…)
(…それは貴方が育ってきた環境が悪いわ)

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