「今日は帰りなさい」

「え…大将…?」


(あの名前ちゃん大好き青雉さんが帰れって!)
(オイオイ明日は世界の終わりか?)
(名前ちゃんショック受けてるぞ…あの顔そそられるな)
(やべぇアレ…!)

(((犯したい!!)))


ヒヤリと、部屋の空気が冷たくなると共に背筋も冷える。青雉の部下達は冷や汗を流して邪な思考を払拭した。


「…ね、名前ちゃん。今日は、ごめん」


いつになく真面目に言われれば引き下がるしかないわけで、名前は頭を下げた。


「…わ、わかりました…申し訳ございません。失礼致します」


青雉の顔を見上げることなく自分の部署へと戻っていく。青雉はその背中を見送ると椅子に腰掛けた。
大きな溜め息は冷気になって目の前のデスクを冷やす。溜め息だけでこの部屋は凍り付くだろうか…頭の隅で考えながら仕事に取り掛かった。

その光景を見ていた部下達はただ事では無いと悟ると更に冷や汗を流し、各々の仕事に戻る。


…数日後。



青雉は名前の部署に足を運んだ。
部屋を見渡しても姿はなく、近くに居た名前の同僚に訊ねると任務に出たことを知らされた。任務は夜まで続くらしく、終えたらそのまま自宅に戻るという。
礼を言うと「因みに明日は自宅で報告書を書くそうです。暫く休んでなかったからと見かねた黄猿さんが…名前を泣かせるなんて、例え大将でも許しませんから」そう呟いて同僚は悪戯に笑った。


青雉は有給を2日取りその足で街へ向かった。買う物は名前の好きなケーキ、好きな雑貨、好きな…


「プレゼントで許してもらえるとは思わないけど…」


両手にたくさんの彼女の好きな物とたくさんの気持ちを抱えて家に向かう。



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