「あらら、青雉さんじゃないの」

「なに、それおれの真似?」

「今日も無駄にでっかくてオッサンだねぇ。ちょっとその無駄にある身長を分けなさいよ」

「ひどい。オジサンはそんな子に育てた覚えはありません」

「オジサンに育てられた覚えはありません」

(そんな急に素に戻らなくても)

「それより大将。この書類とあの書類とそれとあとこっちにも印ください」

「ぐがー」

「いやいやいや、印押すだけですよ」

「だってそれすらも面倒くさい」

「仕事放棄ですか。あ、なんか育児放棄に似てますね。私放棄されたんですね捨てられたんですね」

「ちょっと名前ちゃん、公の場でそんな誤解を生むような発言はいかがなものかと」

「私は悲しいです。よよ」

「ちょっと…」

「わかりました。名残惜しいですが黄猿さんの所に行ってきます」

「え、何でそこで」

「さようなら大将。私は別の大将の、ちゃんとそれなりに印くらいは押してくれる大将の元へ旅立ちます」

「! わかった、印くらい押すから」

「わあ、ありがとうございます!それじゃこの書類とあの書類とそれとあとこっちとあれとついでにこれにも印ください」

「ねえ、書類増えてない…?」




数分後、印の押された書類を持って意気揚々とする名前と魂の抜けきった青雉が目撃された。




(あー…つかれた)
(お疲れ様です、クザンさん)
(!!)
(そういえば大将。まだ必要な書類が)
(…あれ?幻聴?疲れすぎ?)




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