世界一の剣豪に相応しいのは、どんな人?


「ねぇ、ドフラ?」

「さぁなァ?」

「やっぱり、お姫様とかじゃないといけないのかしら」

「フッフッフッ…!おれの中じゃ名前が一番だぜ?」

「誰にでも言ってるくせに」


七武海が本部に収集され、ミホークの連れである名前も本部にやってきた。
名前は来賓室へ通され暇を持て余していたところ、遅れて来たであろうドフラミンゴが部屋へ入ってきた。
会議より名前と話していたほうがいいとワガママを通したらしい。
会議はいいのかと思いつつも話し込めば意外と楽しかったわけで、話題は冒頭に戻る。


「世界一なら何でもいいんじゃねェか?」

「…そうなのかしら。ドフラはどんな世界一がいい?」

「おれ?フッフッフッ…そうだなァ…正義の頂点、悪の頂点ならいいんじゃねェか」

「見た目ならハンコック様が一番よね。あと、ヒナ嬢も素敵だわ。意外とアルビダもいいんじゃないかしら。それから…」

「オイ人の話を聞け」

「ミス・バレンタインとか、ミス・ゴールデンウイークもいいかもしれない」

「…そろそろ会議終わるぞ」

「え、本当?」


ドフラミンゴがクイッと指を動かせば、


「…ちょっとドフラ。解除しなさいよ」

「嫌だね」


名前はふらりと(正確には操られて)立ち上がり、ドフラミンゴも同じく立ち上がった。二人は歩み寄り、真正面に向かい合う。


「…ドフラって意外と背、高いのね」

「惚れ直したか?」

「いえ全然全く惚れてもいませんから」

「フフフッ!落としがいがある」

「落ちない自信があるわ。…ねぇ、ちょっと近くないかしら」

「ん?あぁ、この機会に親密になっておこうかと思って、」


な?と言うと同時に名前がドフラミンゴに抱き付き、ドフラミンゴもまた名前を抱き締めた。
その時を見計らったかのようにドアが開き、ミホークが現れた。


「ミホーク…!?」

「フッフッフッ!抱き心地良さそうな体してんな、お前の女」

「…斬られたいか貴様」

「名前と一緒なら斬られてもいいぜ?」

「人質とは卑怯な。ドフラ、見損なったわ。マイナス」

「…フフフッ!」

「さっさと離せ、ドフラミンゴ」

「わかったわかった。いい暇つぶしになったぜ」


ふと名前を解放し、チュッと頬にキスをした。独特の笑い声を響かせ部屋から出て行く。
ミホークは名前に歩み寄ると今し方ドフラミンゴの触れた頬をつまむ。


「いたっ?!」

「あのような男に易々とキスされるとは」

「…ごめんなさい。痛いです」

「あのような男に易々と抱き締められるとは」

「…本当にごめんなさい。痛いのですが」

「やはり若いほうが良いのか」

「…私はミホーク一筋です」

「……そうか」


つまんでいた頬を放せばほんのり赤くなっている。手を添えて上向かせ、チュッとキスをした。


「…音出すなんて珍しいそして恥ずかしい。やきもちですか」

「そんなところだ」

「!」

「帰るぞ」

「…はーい」


名前は先に歩き出したミホークの手をぎゅっと握る。そうしたら強く握り返され、痛いやら嬉しいやら。


「…ところで」

「ん?」

「あいつと何を話していたんだ?」

「…世界一の剣豪に相応しい女ってどんな人かなって」

「…おれに相応しい女?」

「うん」

「…決まっているだろう」

「どんな人?」




名前以外に誰がいる。



(……!)
(おれの隣は名前専用だ)
(ありがとう!)
(愛しているぞ)
(…私もっ)
- ナノ -