「ベックマンに面白い話を聞いたの!」

「へぇ、どんな?」

「あのね…」


最初は名前の話を聞いてるだけで満足だった。あまりにも楽しそうに笑いながら話すから、本当に聞いてるだけで良かったんだ。
でもそんなのが、おれの彼女が他の男から聞いた話を楽しそうに話すのを1ヶ月も聞いてれば誰だって嫌になるだろ。


「シャンクス!」

「……ベックマンから聞いた話ならお断りだ」

「え…」


悲しそうな表情で見上げてくる名前。そんなに、そんなにベックマンから聞いた話をしたいかっ!


「話したいなら他のクルーに話せ!おれは聞かん!」

「ちょっ…シャンクス!?」


ツンと顔を背けて自分の部屋に向かう。早歩きのおれに追い付こうとパタパタと走る名前を後目に、さっさと部屋に入って鍵をかけ、ドアに寄りかかって座り込む。
コンコン、とドアを叩く音がしても聞こえないフリ。

名前の話を聞くのはいいが、他の野郎から聞いた話を聞くのは気に食わん。
まあ確かにベックマンの話は面白いが…やっぱり気に食わん!


「この部屋には誰も居ないぞー」

「なんて見え透いた嘘を。シャンクス、ドア開けてよ」

「居ないから開けられない」

「居るから声が聞こえるんでしょ」

「居なくても声は聞こえるぞ」

「キャーおばけー」

「棒読みかよ」

「おばけは突っ込まないわよ」

「…おばけも突っ込むかもしれないだろ」

「それじゃあ、ボケのおばけもいるのね」

「いるかもな」

「ドアを開けてくれるおばけもいるかも!」

「ぶはっ…!いねェよ!」

「あははっ!シャンクス、開けて?」


おう、いいぞー…って危ねっ!開ける所だった。おのれ策士名前。


「だめ、開けない」

「…何で?そういえば最近、私が話そうとすると態度が変わるようになったね。それと関係ある?」

「…ある。大いにある」

「…もしかして、私が話すとつまらない?」

「違う」

「……」


…ん?あれっ?何でそこで黙るんだ?オーイ、名前…?

と、ガチャッと音がした。


「ん?!」


ドアが開いて、


「シャンクス!」

「おわっ!?」


背中に飛びつかれた。


「名前?え、何で?」

「偶然通りかかったベックマンに鍵をもらいました」

「…!」


また、ベックマンかよ!(てか何でおれの部屋の鍵持ってんだ!)


「…シャンクス?」

「……なに」


意図せずふてくされたような声になる。名前の吐息が耳元で聞こえる。


「…自惚れかもしれないけど、もしかして妬いてたり、する?」

「…!」

「…ベックマンの名前出すだけで何かムッとしてるし…」

「…大人気ないと思うか」

「!やっぱり」


ぎゅうっと抱き締められる。…めちゃくちゃ嬉しいけど。何か腑に落ちない。


「シャンクスの、ヤキモチ焼きっ」

「うるせぇっ!そうだよ悪いかよおれはベックマンの話を楽しそうに話す名前見て妬いてましたよーだ」


手を上げて降参ポーズを取るとクスクスと耳元で笑い声が聞こえた。…そんなにおかしいか。


「何か、嬉しいな!シャンクスにいっぱい想われてるようで」

「んん?おれはいつもいっぱい想ってるんだが。つまり愛してるんだが」

「!」

「…なー、名前?」

「な、なに…?」

「もうベックマンの話やめて」

「わかった…!聞くだけにしとく!」

「聞くのもダメ!」

「えー!」

「おれがもっと話すから」

「!…うん!」



あげない



(と、いうことでベックマン)
(ん?何だ、お頭に名前…)
(名前はおれのだから。あげないからな!)
(…いやもらうつもり無いんだが)
(それと、もう話さなくていいからな。これからはおれが話す!)
(これからはシャンクスの話を聞くことにしたの)
(…。名前、とっておきがあるんだが)
(え、本当?)
(あ、コラ、そんな簡単になびくな!)




20100510
Various@10000hit記念フリリク。
シャンクス/嫉妬

あれ、これ嫉妬…?←
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