…何だ、この猫。おれの船にいつ紛れ込んだ。オイ、懐くな… 「にゃあ」 …何がにゃあ、だ。 殺されたくねェならさっさと離れろ。誰かコイツを放り出せ!…誰もいないのか? 「にゃー」 …お前はおれの言葉がわかるのか。 「にゃ」 なら話は早い。さっさと出て行け。お前に構っている時間などない。 「…にゃああ」 …名前?おれは…。 お前はどうなんだ。 「にゃあ!」 そうか、お前の名は…… 「……名前」 「クラハドール!」 「…!はい、お嬢様」 「どうしたの?ぼーっとして。あ、可愛い子猫!子猫に見とれてたの?」 「…何でもありません。それより今日のお薬は…」 計画まであと少しだ。何を躊躇う必要がある…。 『にゃあ…』 どうか、誰か、彼を止めて。 名前の願いはこれひとつ。 |