…あれから何とか兄様を説得して船に乗り込んだ。兄様の羽織りに隠れて部屋に連れて行ってもらい、この船に乗り込んだ理由を話した。 「…そんな理由で連れて行けと…?」 兄様は呆れているけれど私にとっては重要なこと。此処で折れたらきっと、本当に会えなくなってしまう。 「兄様…お願いです」 「……フン、好きにしろ」 「ありがとう、兄様!」 兄様の許可を得た。 「…それで、これからどうするんだ?」 「…えっ?」 「分岐点がある。上手くギンと恋仲になるか、散って船を降りるか」 「…!」 「まァまずこの船で生きていく術が必要だな」 「生きていく…?」 「船に乗ったからには自分で生きろ。おれの妹だからといって」 「安全は保証出来ない…」 「そうだ、よくわかってんじゃねェか」 「…うーん…暫く兄様の部屋に匿ってもらいます」 「匿うって…」 「それで、この船の状況を把握出来たらバーンと兄様に実は妹がいるんだーとか何とかで公表してもらえれば…」 「…完全に人任せじゃねぇか」 「お願いします。首領・クリーク」 「誰が…」 「首領は伊達じゃないと見せて下さい」 「……」 「…もしかして、首領は名だけなの…?」 「そんなワケねェだろ!いいだろう。暫く身を潜めておけ…!」 「ありがとう!」 潜入成功! こうして私のひっそり航海生活が始まった。 |