「サカズキさんの為に料理を作りました!」

テーブルの上に並べられた皿は彩り豊か……ではなく、どれも真っ赤だった。

「…真っ赤じゃのう」
「はい!黄猿さんにサカズキさんは激辛がお好きだと教えてもらったので!」

真っ直ぐと澄んだ瞳で見つめる彼女に渋い顔をしつつも礼を告げる。明日は黄猿をどうしてやろうかと考えながら箸を持った。

「……」

真っ赤な物体を箸で取ると、意を決して口へと運ぶ。どんな辛さが来るのかと一瞬構えるが、見た目とは裏腹に口内に広がる辛さは控えめだった。

「…美味い」
「本当ですか!?良かった…!残されてもいいように自分でも食べれる辛さにしたんですが、大丈夫でしょうか?」
「ああ、…わしは激辛モンは食わんけえ、これくらいでいい」

目を見開いて食べないんですか?!と驚く彼女に溜め息をつくと真実を告げる。騙されたとわかるや否や平謝りだった。

「謝らんでええ。ボルサリーノが悪い」
「すみません…」
「そんなことより、もっと伝えなきゃァいけんことがあるじゃろうが」

その言葉にハッとして改めてサカズキを見つめる。

「…誕生日、おめでとうございます」
「……あァ、来年も頼む」

祝いの言葉に柔らかな表情になり、用意された料理を残さず平らげた。









Happy birthday!


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