「なんでもない日、おめでとう!」


平和すぎる航海が続き、のんびりしている中で急に。




−なんでもない日−




「…急になんだ」
「おはようございますローさん!今日は何でもない日ですね!」
「……どこかの絵本でも読んだのか?」
「大正解です。流石ローさんですね」

拍手をする彼女に呆れながら溜息をもらす。彼女はへらりと笑いながらローの目の前に座った。

「……で?」
「何でもない日なのでプレゼントを用意しました!」
「…………で?」
「ほら、よく見てください」

頭を指さすと大きなリボンのカチューシャが飾られている。

「…………ほう」
「私がプレゼントです!どうですか、参りましたか!」

へへん、と笑う彼女に何をどう参ったらいいのか頭を抱えて俯いた。どうしたんですか、と問いかけられるも溜息しか出ない。

「…お前な……」
「はい?」
「…なんでもねえよ…」

変なローさん、と言いながら首を傾げる彼女を手招きしてみるとにこにこと近付いた。手を伸ばすと届く距離まで近付くと腕を掴んで引き寄せる。

「うわ、」
「…お前がプレゼントか……」
「あ、いらないなら返品オッケーですよ?私へこたれません」
「…返品はしねェが…普段着でプレゼントなんて言われてもな」

何度目かわからない溜息をつくとじっと見上げた。

「せめて着飾れよ。フリルの服着てみるとか、ナースとか」
「コスプレ趣味でしたか」
「違う。断じて違う。普段着だと有り難みが無いって言ってるんだ。リボンだけじゃつまらねえよ」

はあ、と彼女は首を傾げる。わからねえならいい、と手を離すと立ち上がった。

「……まず、プレゼントとは何だ?」
「誰かにあげるもの!」
「何故あげる?」
「喜んでもらう!」
「そうだな。誰かに喜んでもらう為にやるのにそのままで渡すか?」
「…ラッピングする…」
「お前はプレゼント、なんだろ?」
「…ごめんなさい…やり直し!!」

一瞬落ち込むとすぐに顔を上げて敬礼し、部屋を飛び出す。あまりの早さに呆気にとられたもののすぐに脱力した。腕を天井に向けて伸ばして身体を動かすと浴室に向かう。

「風呂でも入って待ってやるか…」



―――



お題提供:りくとちゃん。
すぺしゃるさんくす!!


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