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はあ、はあと静かに肩から息切れ。目はもう据わったまんまでゲーム終了後もレシーブの構えをし続けている彼女、凛はクラスメイトからの歓声とチームメイトの歓喜の声が渦巻く中、体育館のど真ん中のコートで躍るように倒れこんだ。







「…ちくしょーばあーか!…ったあ?!」



「…何してるの凛ちゃん」


「今の何なん、ちょーうける!」



「うわあっ?!び、びっくりした…フェリスか、」



「ちょ、名前まとめんなしー」



アーサー先生に「ばっかじゃねえの」と言われて何か悔しくてまだ誰もいない教室まで走って走って走りきって、少年漫画のごとくおもいっきり壁を蹴ってみたがこれは…駄目だ、奴(壁)は何一つ表情を変えずダメージがあったのかなかったのかわからないのに対して、私はダメージ24くらったと丸わかりじゃないか。痛いよ爪先、ちょう痛い。そしてフェリスが見ていたのかと思うと心の右上あたりが痛いよ。




「珍しいね、凛ちゃんがそんなにカリカリしてるの。」



「何かあったん?」



「…ううん何もないっすよ!今のは…こう…自分にダメージを与えることによって気合いを入れるというか…ね!」



「ね!…じゃないこの馬鹿もの!公共のものを足蹴にするとはお前ってやつは!!」



「「「出たー?!!」」」




本田先生についで神出鬼没な委員長、ルートが来てからクラスに次々とクラスメイトが入ってきた。先ほどの現場を見ていたと思われる湾と何故か朝いなかった香もきて少し騒いでいるうちにチャイムが鳴った。




「おいお前ら席着けよー!」




やっぱりあの極悪な顔はなかったかのように爽やかな雰囲気を漂わせる先生が一声あげれば皆はすぐに席に着く。いつもシャツ姿な先生が珍しくジャージを着ているからか女の子達が頬を赤く染めてはかっこいいかっこいいと笑っていた。




「どーこがいいのやら…ちくしょうぶった切る。」



「何物騒な事言ってんすか。…あいつなら俺が斬るんで。」


「香ちゃんの方が物騒ー。それより何で朝居なかっ…ああお寝坊さんっすか、こーのお茶目さんめ」



「きもいんすけど。」



「おいそこ喋るなよー」



「…」



「まじすんませーん黙らせとくんで任せろ的な?」



「よーし先生には敬語を使おうな、香。で、今日の日程だが…」



注意されたらいつも何かしら返事をする彼女が黙るもんだから何かあったのかと思春期ボーイ香は切なそうな表情を浮かべてはため息をつく彼女のぴんく色の唇に…




「はあはあごちそうさま!」
「さすがの湾でもそれ以上調子にのったら殴る的な。」



暴走し始める湾と同時にSHRは終わり、クラスから体育館なりグラウンドなり一斉に生徒が向かう。男女互いに健闘を祈る!とハイタッチをしてチームごとにコートへ急いだ。





「まずは一回戦目ね、頑張りましょう!」



「うおおおおおお燃えてきたああああ!!絶対にい…絶対に勝つぞごらあああ…!!」



「凛怖っ?!…もしかして朝の事気にし「よっしゃあ湾、みんな、今までの練習の成果を十分に発揮するように!以上!!」」




コート内で、両腰に手をあててそう言えば、委員長みたいと笑われてしまった。わあわあと声が上がるなか、6人で円陣をくんでありきたりな台詞言って盛り上がる。そして審判のふく笛によって試合開始。それぞれ配置について練習通りに構えた。




(…絶対優勝してあんにゃろうにでかい態度とってやらあ!!)




(っせいいいいいい!!!)
(きゃあ凛すごいアタック!腹ちら腰ちら!!)
(ちょーいエリザ、盗撮は犯罪だぜー!!)
(るっさいわよじゃがいもは黙りなさい)
(凛ちゃんすごい顔やなあ〜)
(だよな…ってアントーニョはグラウンド担当だろ?!!)
(へえそうなん?)



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