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かさぶたみたいな赤い線が、どこか得意気に私の膝で主張していた。いや、膝だけではない。手の甲の親指側から肘へかけて青く腫れた私の腕は今までの頑張りと苦労を象徴している。






「優勝したらカリエド先生とケチャップ片手にランデブー」



「うっわ凛…何すかその腕…」




「あれ、気づいてるかと思ってた。…これはだね、私の2週間の栄誉ある傷だよむふん。」




「栄養あるキス?!そうなの凛?!」




「あ、うん、何かそれでいいや。」





早朝ランニングで持久力を、早朝練習でバレーのテクニックを。授業中の愛読書は「ミジンコだってわかるバレーのき ほ ん○×」で決まりだぜびっびがじゅう。もちろん本田先生にバレて、ゴーヤon toマイ口の中だけどね。ははん苦い。



そして昼休憩もバレーで以下略、午後の授業も「ミジ…以下略。」そしてバレてアーサー先生に以下略。放課…以下略。




「略しすぎ的な。それと英語なめんな的な。」




「ミジンコだってわかるバレーの○×って…丸はわかるけどバツって…」



「ミジンコがわかるならオケラもわかるん?」




「…わかるのではないか?」





そして放課後練習の後である。ジャージから制服に着替え終わったクラスメイトは、明日に備えて7時30分に寝ろ!という私の発言により次々と帰っていく。




「ついに明日だね…って湾ちゃん何して…」



「フィルム替えよ、明日はとことん写真とるの」




「まじでー?俺撮って写真くれん?」




「いいわよ、フェリクスの腰チラ写真撮ってみせるわ!!」




「…帰ろうかフェリクス。」




「え、何でなんもう帰るとかつまらんし」




「そうだな、早く帰って明日に備えて休養をとろう。」




「相変わらず堅いっすね。」





また明日ー、とトーリスを先頭に3人がクラスから出ていく。じゃあ私達も帰ろうかーと、私達しかいない教室の中で腕を天井に向けて伸ばす。






「まじ痛々しいんすけど凛の腕。」




「凛は異常よー、私そこまで青くならなかったわよ」



「つっぱる事が凛のー、たった1つの勲章っだって、この腕をしーんじて生きてきたーっかあ!」




「…」




「…香のスルースキルが3、あがった。」





ちゃらーん、と何とも安い効果音を口にすれば、机の上に座っている香があからさまにため息をついた。





「凛?」



「ん?」



「凛はそんなんでも女の子なんすよ?」




「そんなんでもは余計だばっきゃろう。」





「…だからそんなに傷、作んないで」





「あっらーやだやだ!私お邪魔みたいねうふふふふふ!邪魔者は退散しますよっ、と!そしてカークランド先生を呼んでがっつりネタにしますよっ、と!」



「んなことしたらいくら湾でも殴る的な。」





「ノットカークランド、イエスカリエドウィーキャン!!」




「まじやだ。」






(お前らまだいたあるか、早く帰るよろし)
(まさかの王先生ワロタ)
(っす)
(あいやー凛今から帰って7時30分に寝るあるよ!)
(もう7時あるよ。)


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