03
嫌がるフェリクスと呼ばれた少年を前に前にと笑顔で差し出すトーリス。
「あはは、ごめんね、フェリクス極度の人見知りだから、」
「こちらこそごめんね!香はまあ目付きが悪いってことで」
「悪くないし」
「悪いわよー!もっと笑えーっ!」
「いや香が笑うと怖すぎる!」
うわあ、と一歩さがる私。そんな私達のやり取りを見てトーリスはクスクスと笑う。相変わらずもう片方はものすごく警戒している。
「あっ春日さんなんかかたっくるしいし凛でいいよー!」
「私も湾でいいよ!よろしくね」
「あー、じゃあ凛ちゃんと湾ちゃん…」
「あ、こいつは香のくそ野郎でいいよっ!」
「凛のことはカメムシでいいっすよ。」
「やだ臭う!!」
だんだんと慣れてきたのか隠れていた彼も少しずつ笑いだした。それを見計らって彼の前に手を差しのべてよろしくー!って言ってみる。
「おーよろしくー!」
「あ、じゃあフェリクスで良い?」
「構わんよ、じゃあこっちも凛って呼ぶ!」
ようやく打ち解けたところで二人とはお別れ。また明日ー!と手を振って私達も靴に履き替えようと靴に手を伸ばした瞬間、何ともいえぬ声が耳に入った。
「あら、湾さんに香。」
「?あっ菊さん!」
「…っす、」
「今からお帰りですか、ちゃんと勉強してくださいよ?」
くすり、と笑う黒髪の先生。カリエド先生とかと比べて背は低いが雰囲気的にいえば一番大人っぽい、気がする。というかエロい的な、エロボイス的な。
「今から凛と香としますよー!」
「凛?…ああ、貴方ですか、」
「あ、どうも」
「おやおや随分頭の悪そうなお顔で、」
「?!」
にへらと笑い返せば菊さんと呼ばれた先生も笑って、おいエロスだなって思ってたらこの言葉だ。驚いて声もでないよだって初対面で普通こんなこと言いますかいいえ言いませーん!
「ではお気をつけて。」
「はいさよなら!」
「…」
「…ちょ、何あの人?!!初対面の私に?!失礼すぎる!!」
「え?!凛、菊さん…本田先生知らないの?」
「知らないよあんなエロス。」
「エロス…」
「有名なのにー。まあ早く帰ろうよ、」
複雑な思いをもったまま靴に手を伸ばす。…いや待てよ私、大事なこと忘れてるよ私、カリエド先生に会ってないよ私!!
「…」
「凛?」
「ちょ、先帰ってて!」
「え?!何?!トイレなの?!!」
そうおっきいやつ!とだけ言って鞄を持ったままスリッパで全力で走った。長い階段もかけあがって体育教官室まで必死に走る。はあ、はあと息を整えたどり着いた教官室。一回大きく深呼吸してドアをノックした。
「どうぞー」
「しっ失礼します、!」
「あ、凛ちゃんやん、どしたんそんな息切らして、」
「あっあの、先生!!」
「?」
「めっ、目玉焼きにはまっマヨネーズですよね?!!」
「…目玉焼き?」
(うわああああああ何目玉焼きの話してんだ私ばかああああ!!)
(もー凛ったらー、)
(待つっすか。)
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真っ白ということに気づきませんでした…!前とは話がちょっと変わりましたね。