34
ぴーんぽーんぱーんぽーん、ただいま私はこんな気分である。彼は私の恋人なのよ手出さないでよねこんの泥棒猫!はーあ?何言ってんのよ彼は私のなんだから!ガラガラリ、…何しているんだ君たち、俺のために喧嘩なんかしないでくれ。…みーたーいーなー。
「乏しいな、しかも俺女かよ」
「いやん脳内見ないでくださいよ。」
「今のいやんは結構えろいな」
「耳もぐぞ変態教師」
「してみろ、耳噛み返してやる」
「俺の存在無視するとかありえないんすけど。」
お互いにネクタイを掴んだままドア付近に立っている香の方を見るとベッドの上で睨みあう私達の方へ早々と歩いてきては先生のネクタイを掴んでいる私の手を掴んで無理やりベッドからおろした。
「うおおおっ?!ちょ、香さーん!私のネクタイとスリッパが!保健室に放置しちゃうんですかーい?!!」
「任せろ凛のネクタイとスリッパは本田に渡しておく。」
「やめてええええ!ネクタイとスリッパもしくは私が無惨なすーがーたーにー…」
その言葉を最後ににやけ面の先生は壁で消えて無言で私を連れ歩く。ソックスが黒くなっちまう!母さんに怒られるよ「うんじゃあ明日から素足ね」とか言われるよ!
「ちょっ、香!ちょっと待って!!」
「…なんすか、」
「あ、あのさ…えーと…」
「あいつについてっすか…?」
「いや、ソックス脱いでいい?汚れるし」
「は?」
真剣な表情を浮かべていた彼の顔が崩れる。だから手離してと言いつつも無理やり振りほどいてスカートなのに気にせず足をあげてソックスを脱ぐ。
「もー、香はせっかちっすねー。明日のネクタイとスリッパどうしよーかー、」
「ちょ、stop凛、もう少し恥じらいもってほしいんすけど」
「何おうあたしゃ花も恥じらう凛さんだよ!」
「スカートでそんな足あげるとか女子失格的な」
はあ、とため息をつく香。あらあら幸せが一つ逃げちゃうぜー、早く吸い込まないと!
「スーハースーハー…」
「…」
「ははんっ、香の幸せゲットだぜい!いぇい!」
「…」
「何その可哀想なものを見る目は。」
「違うっす、自転車にひかれて内臓がとび出たカマキリを見つめる目的な」
「やだそれきもい。」
そんな目で見られていたのか私は、ちょっぴり切ない。…で今思った訳だけども今昼休憩だよねの割りには生徒いないけど、この格好で授業はさすがに委員長に叱られちゃうよね。
「今放課後」
「まじか。」
「知らないってことは凛ずっと寝てた?」
「多分」
「その間にあの眉毛野郎にセクハラとかされてないっすか」
「された的な」
「まじすか」
「まじすよ」
「ok、あの眉毛むしる。」
「そんなことしたら香、10円ハゲにされちまうよ。」
そう言えば、チッと舌打ちをしてはまた歩きだす。湾がカバン持って待ってるっすからって。ああこれから彼女の元へ行ったらきっとあれこれ聞かれては良からぬものを作られるのであろう、そう思うとさっき吸い込んだ幸せを吐き出してしまいそうだ。
(凛…ネクタイがないわね)
(あー…あー、まあ、先せ(きゃあああああきたこれ!!エリザ先生に言わなきゃ…あ、でもエリザ先生にカークランド先生ネタは禁物いやでもやっぱり))
(湾ストップ、何もないからねー、)
(セクハラされたって言ってた的な)
(きゃあああああ!!)
(ため息ついていいかな。)
0116