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こんにちは、春日凛です。今、拉致…とはどうかわかりませぬが車でどこかへ連行されております。隣には妙に威圧感をだしている爽やかスマイルが定評のアーサーカークランド氏。まったく訳がわからない。
「せ、せんせーい?」
「…」
「爽やかスマイルが定評のアーサーせんせーい?」
「ちょっと黙ってろ。」
「はい黙ります。」
何なんだ何なんだいこのチョーご機嫌ナナメなんすけど?的な雰囲気はああああ?!!ああもう腎臓が痛い、膀胱が痛い膀胱…トイレ行きたいよめそめそ
「せんせ…」
「…」
「と、トイレ…って女の子に何言わせるんですかあああああお腹痛いですトイレヘルプ!ヘルプトイレ!!」
お腹をぐっと抱え込むように片手で押さえて窓ガラスを叩いた、めそめそ嘆く私を見て表情一つ変えず、我慢しろと低温で言う先生。ちくしょう
*
「うううううぐ、」
「…降りろ」
「へ?…ちょ、ここどこですか、たっか!!マンションたっか!!トイレああああ」
車を降りてびっくり。どこぞの高層ビルかと思うくらい高いマンション。…屋上が、見えない…だと、?!やばい首つりそう、と顔を下げれば前へすたすた歩いている先生が。
「ちょ、待ってくださいよ先生!!おいてかないでくださいよ膀胱が死にますうう!!」
「…」
「スルーですかあっさりスルーですか!もういいですよぷんぷーん、先生なんかばあかばあー、」
か、と言った瞬間、肩を掴まれ壁に押し付けられた。壁と背中がぶつかる衝動にきゅっと目を瞑ってまた開ければ物凄く嫌そうな顔をしたアーサーカークラン…いやいやこの人先生じゃなくないか?!
「っ、」
「いいから大人しくしてろ」
「う、ウィームッシュ…!」
そしてまた歩き出した先生の後ろをちょこちょこついていく。黒いセンサーに親指をかざせばピッと音を出して透明なドアが静かに開いた。
(すすすすげえええ…!)
広いエレベーターに乗り込みたくさんあるボタンの最上階をおして上がり、降りて隣りのエレベーターにまた乗り、62階のボタンを押す。
(ろ…62階…)
「…たっかい…」
「…怖いか?」
「べっ、べべべべべつにこわわわわ…くない的な!」
そう言えば嘲笑うかのように口角をあげる先生もどき。…いや、だっていつもの先生じゃないしさ!本当はお兄さんかもしんない!
「せ、先生ってご兄弟は…?!」
「いない」
「そ、そうですか…」
「入れ、」
「お、おじゃましまーす…」
「トイレ、そこな、」
「広?!!無駄に広い!はいじゃあいってきます!」
ガチャン、と勢いよくトイレに入る。ほんのり薔薇の香りがする。あ、ちょっと和む。
*
「ふへー、ありがとうございました先せ…ってうわああああ?!なっななななんで脱っ、脱いっ?!」
「着替え」
「着替えなら隅でやってくださいよ!」
「ここ俺んち、何してもいいだろ?」
そう言いながら私に近づいてくる先生。細いけどやっぱり男の人だなあ…筋肉がしまって…って何見てるの凛ちゃんのエッチー!
「なーに見てんだ…?この変態」
「なっ見てないですし!…いや、ちょーっと見ましたどうもすみません!」
「はっ、ガキだな。お父さん以外の体見たことないのか?」
にやりと笑って私の顔に触れた。顔赤い、と言われてさらに顔に熱がこもる。顔が!顔が近いです先生!!
「ちょ、離れてくださいって、」
「恥ずかしいのか?女みたいな俺なのに?」
「やだあ…」
「…泣くことねーだろ、」
「泣いてないですばかあああ!」
下唇をきゅっとかんで目を見開く私を見て舌なめずりした先生はちゅっとリップ音をたてて私の目頭にキスをした。
「っ?!!」
「それ以上泣いたら犯す」
「なっなななななな何てこと言うんですかあああ?!!セクハラ教師!」
「はっ、何とでも言え」
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