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「アーサー先生って、」





女みたいですよね。…この言葉がなかったら、こんな展開にはなってはいなかっただろう。今更だけどいいかな、前言撤回させてください。







*





「やっと金曜日!明日は7度寝しようそうしよう。」



「7度寝…さすがに寝すぎじゃない?」



「普通だよー、トーリスもした方がいい!」



「いやしなくていいっすよ。」



「そうだ早寝早起きは鉄則だろう!」





何だい何だいいいじゃないか別に何回寝たって!…そうこう言っている間にもう帰りのSHRは始まっていた。騒いでいる私達はいつものごとくアーサー先生に注意を受ける。





「それにしても大根が一番だよね、」



「何、いきなり何の話?」



「おでんっすよ。つか大根とかまじないっしょ、普通卵。」



「卵も大根もありえんしー!おでんならはんぺんだと思わん?」




「思わーん!!大根じゃ大根んんんんんん!」



「はんぺんゆーたらはんぺんやしいいい!」




「むきー!」



「ぷきー!」




「よし、お前ら二人放課後雑用な?」





にっこり爽やかに笑ってそう告げた先生は私達に拒否権を出さないかのようにすぐさまルートに号令をかけさせた。早く英語教官室来いよーと言った先生はひらひらと手を振って教室からでていった。






「…フェリクスのせいだあああ!」




「え、なんなん?!凛のせいやし!」



「というか何で私達だけ!?香とトーリスもじゃんかあ!」



「それ思った!」





二人できっと香とトーリスを見る。二人はまるで他人事のようにスルーして鞄を持ち出した。





「じゃ、帰るっす。」



「裏切り者!」




「じゃあ凛ちゃん、俺も帰るね、」



「俺も帰るしー、じゃあまた明日ー!」




「うおおいこらフェリクス待たんかーいいい!!!」




逃がすまい!と手を伸ばすがひらりと交わされてトーリスと香と共に逃げていった。…ちくしょう!!






(ううう…帰ってジャンプ見てさきいか食べて目薬さしたかった…!あと爪切りたい。)





…そうだ、ここで私も撒いてたら良かった。良かったんだよねゴッド様?!まあこの時はわからなかったのさ、しぶしぶ行っちゃったのさ!!






「早く終わらせてくださいよー、さきいか食べたいので!失礼します先生!」




「逆だ逆!!」



「…いや、今のは倒置法です!!…じゃ、じゃじゃーん!!」



「頭の悪い倒置法だな!」



「それより雑用って何ですかー?手軽なものがいいんですけど。」




「あー、いや、けっこー重いな。…ってもう1人いないみたいだが、」




「撒かれました。」




「御愁傷様。」



「先生酷い!!」



「俺が多めにもつから、これ、よろしくな?」




そう言った先生が指をさした先は大量の冊子。わあお、これ持つの?死ぬの?しかも先生の車にだと、?!自分で持っていってくださいよ!





「終わったら何かおごってやるから、」




「よおし持つぞー!」





よいしょっと冊子を抱え込む。予想外に重たくて指がじんじんする。ちくしょう、車が来い!






*






「…はあ、終わったー!」



「ああ、すまなかったな。助かった。」




「いえいえなっちゃんリンゴでいいですよ!」



「ははっ、何だよそれ、」




先生のピカピカの車の横で前みたいにくしゃっと笑う先生につい、言ってしまった。ぽろっと。本能がいくままに言ってしまった。





「先生ってやっぱり…」



「ん、何だ?」



「カリエド先生とは違いますね、」




「…は?」




「いやあカリエド先生って案外男らしく笑うんですけどアーサー先生って女みたいですよね!」






ピシッ、そんな音はどこからも鳴らないはずなのにそんな音が聞こえた気がした。先ほどまでくしゃっと笑っていた先生の顔はどこにもなく、嫌に押し潰されそうな威圧感を放って聞いたことのないような声でこう言った。





「乗れ」






半ば…いいや完璧、無理やり車に乗せられた私をずっと監視していたある女の子はそれを止めもせずにただシャッターをきっていた。






(カークランド先生×凛きたあああああ!!やっぱり、やっぱりね!カークランド先生って絶対裏があると思っていたのよね!はあああタクシー呼ぼうかしらうふふふふ、)



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ついに出そうでする。次の話はアッーってしたい^p^←