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「はいじゃあ今日はカップケーキ作ります。エプロン忘れた子は貸すわ、」






破廉恥エプロン
(残念エプロン)





二週間に一度の調理実習。調理室はどこか不思議な匂いがするもんだ。銀色の台の上に置かれた材料と作り方のプリントを見て口を綻ばせる。




「うはあー、調理実習とかあれだよね!女子力アップだよね!」



「凛は女子力マイナス83っすからね、頑張れ的な。」



「酷くないか香ちゃーん!何マイナスって。っえー私スタートラインにもたててないの?あちゃぱー、」




「次ちゃん付けしたらゴキジェットの刑…」




「ひいいああああごめんごめんまじすんませーっん!」



「うるさいぞお前ら!…って凛、エプロンはどうした?」


「…忘れた。」



「なら早く借りてこんか!」




いえっさあああと敬礼して前にいるエリザ先生の元へと行き、事情を説明した。…あっれー、近くないですか近くないですか、





「そう…この日を待ってたわ!凛のためにエプロン作ったの!」



「うひゃあ先生すってきいいいい!どんなのですかどんなのですか?!」



「純白のフリフリのエプロンよ!」



「私が…フリフリ?!!…なっ、何て似合うんだろう!さすが私いいい!」



「それでそれ裸用なの。皆の前だったら恥ずかしいと思うから…隣りの部屋で先生と二人で作りましょ…?ふふふ、」



その裸用破廉恥エプロンを握って私の腰に手を回す先生。いくら私でも裸エプロンはあいたたですよ!え、下着着用は裸に入るんですか?パンツは駄目ですか?れんこんは何故穴があいているのですか?!!




すると私とエリザ先生の間にスッと泡立て器が。あれ、これデジャブとか思いながら出された方に目をやると三角巾とエプロンを着用した香が不機嫌そうにむくれていた。





「…先生、普通のエプロンPlease,」



「…まあいいわ、じゃあ一番可愛いの貸すわ!」



「う、うす!ありがとうございます!」




エプロンを受け取って先生に敬礼をしていると泡立て器のないほうの手が私の手首を掴んでぐんぐん歩き始めた。





「凛」



「んっ?何?っあーわかった!このピンクのエプロン着たいんでっしょー?!ふはははは、食堂でコロッケサンド買ってきてくれるなら考えてやろう。」



「違うっす。…あの先生にはあんまり近付くなってだけ、」



「エリザ先生に?何で?」



「…、わかんないんすか。」



「香?」




「カリエドとかカークランドとか本田とか…ルートとかトーリスとかにも、」




「どした?鉄分足りないの?サプリ買ってあげようか?5年分の誕生日プレゼントで。」




「…馬鹿」



「っあ!馬鹿言うなし!」



「鈍感、もういいっす。」




ぷいっと顔をそらして班の方へと走り出す香。訳もわからず私も班に戻ってエプロン着けて調理開始!…と思ってたのに生地は完成、どの班もまだ混ぜている段階なのにすでにオーブンの中、





「えええええええええ?!!私何もしてないのに!」



「凛が遅いのよ!でも凛がいなくて良かったわー、生地亡くなりそうだし。」



「亡くなるって酷いよ湾!!せめて無くなるにして!!」




「凛、」



「何だようばかるーと!私もしたかったのに!」



「うむ、お前に仕事がある。皿洗いだ。」



「お前は鬼姑かああああ!!!」





(ところで何で香は拗ねてるわけ?)
(わかんなーい、いきなり怒った。)
(もしかしてフラグ…?!!香、あんたやっと動いて…!!)
(?香動いてるけど?息してるし。)
(はあはあ詳しく!詳しく!!)
(いやだから食器拭いて息してるよ!!)



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作ってる最中を書きたかった←思いつきで何も考えず突発的に書く癖を直したい…ぐむむ、



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