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「おえええええ…ぎぼじわるいいい…」



「まじありえんしー…」



「フェリクスも凛ちゃんもバスであんなにはしゃぐからだよ、」



「だから酔い止めを飲めと言ったではないか…まったくお前らは…」




遠足!
(バスははしゃぐしかない)




口をおさえてうーうー言っている私とフェリクスを見てトーリスとルートがため息をつく。


あれから遠足について話していく度に打ち解けて委員長ことルートと仲良くなった。真面目だけど優しくて人より一倍思いやりのある彼はまさにお父さんだ。我が家の大黒柱はむっきむきだから倒れないぜ…!




「げええええ」



「もう凛汚い声ださないの!カリエド先生の前でそんな…」



「ええええ?!カリエド先生?!どっどこ?!!お花畑でうふふ〜捕まえてごらんなさいゲームするんだから!」



「却下的な、」




香のせいでカリエド先生はおあずけ、あああ目の前に居るのに…これ何て拷問なのさ!





「カリエド先生のために今日は勝負下着着用してきたのに!!」



「ええええ凛ちゃん、ちょ、」




「リト動揺しすぎだしー、」



「あははトーリスむっつり?…待てよ、むっつりは結構美味し…」



「…少し落ち着けお前ら」




ほら、自転車乗るんだろう!と「楽しい遠足の遊び方」と書かれた本を持ったルートが騒がしい彼女達をまとめて自転車貸し出しのところへと歩き始めた。





「わー、結構他の生徒もいるねー」



「早くしないと自転車なくなっちゃうかも、俺受け付け行ってくる」



「待て、俺も行こう、」




ぞろぞろと同じジャージを着た同級生達が自転車貸し出し場に居た。


そんなに自転車人気だったんだ!何、みんなも俺風になるぜ!とか思っちゃってる?!はっ、一番速いのは私だかんね!ハリケーン
並だからね!大樹だってぶっ飛ばすしちゃうからね!




「そしてカリエド先生を優しく
包む風に…俺はなる!
ついでに海賊王にもなる!!」



「凛うるさい的な」




「あ、帰ってきたわ、」



「リトどうだったんー?」



「ぎりぎりあったよ!で、どう別れようか?女子は女子で、俺はフェリクスと乗ろうか?」



「別に構わないが…」



「私もいいよーっ!」




へらへら笑う私とどこか不満気な香の間にいた湾が急にお腹を押さえてしゃがみ込み、唸り出した。何事かと驚いたみんなが
大丈夫?と声をかける、





「お腹が腹痛で痛いの、…私、自転車乗れない…」




「そんな!?湾、大丈夫??」




「いや…お腹が腹痛とは表現が色々間違えているというかだな…」



「でも任せて、私の代わりに人、連れてくるから!」




そう言って立った湾は全力疾走でどこかへ走っていった。元気じゃないか、というルートのツッコミに思わず頷いてしまう。



それから数分後、やけに笑顔な湾が連れてきたのは、





「げ、」




「かっ、カークランド先生…?!!」




「げ、とは随分失礼だな。…で、俺に何か用があるのか?」



「私お腹が死んだみたいで…自転車乗れなくなっちゃって、凛が一人になるからぜひ先生に…できれば途中でフラグ立てたりとか、手が触れ合ってきゃ、とかそういう美味しい展開をぜひ!!」




「…随分元気そうに見えるのは俺だけか?」



「いえ先生私もそう思います。」







(俺が凛と乗る的な)
(美味しい展開って…ちょ、
そーゆーのはまだ俺っ)
(リト落ち着けし)


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