2つ目の遮断機を右へ
それから何一つ喋らなくなった彼女は二つ目の遮断機を右へ曲がり一気に急降下。良くいえばダイナミック、悪く言えば運転が荒すぎて脳みそが右へ左へ揺らいで少し吐き気がした。
地面すれすれまで垂直に降りては地面と平行になり、タイヤと道路が触れた衝撃で一瞬体が宙に浮く。男としては恥ずかしいものだが抱きついていないと落ちてしまいそうで。
「…ここ、M/6通り、?」
「よくわかったね」
「この国についてはよく知っているんだ、」
皮肉にも、ね。と心の中で吐き出して右、左、と景色を見渡す。
M/6通りはこの近代国家にしては珍しい寂れたエリアなのだ。近代国家といっても貧富の差は天と地の差くらいあり、職のない人間や罪を被せられて社会から追放された人間が彷徨いているという噂をよく聞いていたが事実だったのか…、
…ああ、だからこの国にこんなにもうんざりしているんだ。いつ、どこで、何があるか予想がつかない。現に今だって予想外な展開で表面上では冷めたフリをしているが内心ヒヤヒヤ状態。…将来が、見えない。
「これからどこへ行くんだい?」
「家」
「…君の、家かい?」
「そ。」
助けてもらった彼女に対して大変失礼なのだがM/6通りの家、といったら酷いものしか想像できない。例えばツタだらけの古い屋敷とか屋根が陥没している建物とか。
そんな事を考え、自身のこの先に不安を抱きつつひたすらこの息苦しさに耐えた。
「着いた、降りて」
「…俺には家には見えないけど」
「見た目、はネ。」
降りた場所は道、ではなく建物の中。建物といっても大分寂れた倉庫に見える…怪しすぎる。彼女も彼女で充分怪しいが助けてもらっておいて何か言うのも申し訳ないので、とりあえずバイクや車が十数台止められた場所から左の方へ歩いて行く彼女の三歩後ろからふらつく足取りで着いていった。
「足元気をつけて」
「え?…っうわ?!」
左端に何があるのかと考えていると、まさかの下へ続く階段に足を踏み外してしまった。前に居て相変わらずフードを被ってゴーグルをつけたままの彼女はあっさりと体を避けて俺は下へと転がり落ちてしまった。
「…っ、たた…」
「貴様…誰だ、」
俺が転がり落ちた先はあの寂れた倉庫からは想像もつかないような綺麗なな空間であった。驚きながらも赤く滲む腕を押さえ顔を上げれば、金髪の男が俺を見下ろしていた。
▽▽
もう半分でした。最後のはあれです、我輩です。もう一話かけるかなー
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