空飛ぶ大型バイク




俺は今、空を飛んでいる。別に驚くことはない、今では金持ち共が空で車を走らせている時代だ。俺が驚いているのはそんな事ではなく今目の前にいる黄緑色の人が大型バイクを操縦しながら大きな銃で黒い化け物を撃ち落としていることである。



「き、君は一体…」



「…」



「…聞こえて、ないか。」



銃声音にバイクのエンジン音にフードにヘッドフォン。俺の声が届いているはずがないか、と現実から目をそらすかのように一人で渇いた笑いを溢せば、小さく、だけど凛とした声が目の前から聞こえた。




「シノ、」



「?!」



「国民を守るヒーロー、トカ言ったら笑うかな」


「ま、もる…っうわ?!」



今までに聞いたものと類似することのない独特な声、彼女の意味深な言葉に思いを巡らせていると急に速度が上がり思わず舌を噛んでしまいそうだった。



あれだけ速かった黒い化け物と距離を離して、ようやく広いK/6の通りを抜ける。そこには先ほどの光景が嘘だったかのように平和な街並みが広がっていた…といっても行き交う人々はきっちりかっちりして、相変わらずピリピリとした雰囲気だが。



「…腕」



「えっ?」



「民間人に怪我させてしまった」



「いや、これは…」



「点数が、下がる」



「…は?」



ぶつぶつと呟き始めた彼女は何を思ったのか再度速度を上げ、高層ビルをひょいひょいと避けながら前へと進んでいく、あまりの出来事と風圧とにもう負けてしまいそうだ。



▽▽


長かったので半分にしたら短くなってしまいました…!もう半分は明日載せますね。


0714