インポートした間違い





鳴り止まない銃声音に鉄が壊れる音、そして人の形をした顔のない真っ黒な何かが宙を飛んだりガラス張りの壁を走る。一人?いいや、ざっと数十人はいるだろう。



「っ意味が、わからないっ!」



アルフレッド・f・ジョーンズはさらにうんざりしていた。K/6の通りでこんな事が起こるなんて予想していなかった、というよりはこの国でこんな黒い化け物達が撃ち合っていることが予想外なのだ。



(今まではせいぜい少人数の人間同士の争いだったじゃないか、!)



壮大な雑音のおかげでまったく音楽が耳に入ってこないままひたすら黒い化け物から逃げ続ける、ゆらゆらとiPodのコードが揺らしながら、パニックになりながらも頭の中でぐるぐると考えを巡らせた。



ニュースではこんなこと起こるだなんて言わなかった、そもそもこんな飛び抜けた戦闘スキルを持った黒いロボットの存在なんて知らない。近頃は派閥同士の口論はもちろんのこと、次は車が宇宙空間を走るとか紙でできた携帯電話がとかいうニュースしか放送していなかったじゃないか、実際に車は宇宙空間へたどり着けないし、派閥はこんな破壊行動をしている。


どれが正しくてどれが間違いなのかが区別がつかず、俺の頭には頻繁にマチガイがインポートされている。




「は、っ…何で…っ」



息を切らしながらグッと拳を握りしめる。何だって俺がこんな目に合わなければならないのか、何だってこんな国に俺は留学してしまったのか。ここで死んでしまうかもしれないという恐怖とこんな無駄なことしてるから国の財政の差がひらいていくんだという皮肉が頭の中でぐちゃぐちゃになった時、強烈な痛みが左腕を襲った。



「っつう…!」



(撃たれた!)



撃ち合いで外れた弾が当たったか?とじわじわと服を染める赤い部分を押さえて死に物狂いで走るが、どうやらその弾は間違いなく俺を狙っているらしい。



逃げなければならないのに後ろを振り返ったその世界は黒、黒、黒。数台の黒が一気に距離を縮めていた。



(殺られるっ、)



コンマ1秒、ぎゅっと目を瞑るが一向に痛みは感じない。その代わり耳には直に銃声音が聞こえて少し痛い。そろそろと目を開ければ目の前には黄緑色の、人が居た。




「っ、き、きみ…」



「任務中断、ついてきて。」



▽▽



最後しか出せなかった無念…!しかしこの歌知ってらっしゃる方がいてうほほいです^///^


0712