大和撫子は目指せますか?





今日はドキドキの転校(?)初日!15枚切り食パンを口にくわえて胸を躍らせ少しだけスキップ気味に足を速め、角を曲がれば白い馬に乗って走ってきたイケメンとぶつかってあはんな体勢に!…なんて王道なラブハプニングなぞ起こることなく私はたくわんホームランと叫んだピンク色の人とでこごっつんした。


「15枚切りって、薄すぎるわよ!」



「死にますそれ馬に殺られてしまいますやん」



ああああと濁点のつく何とも猛獣のような声で両手で額を押さえてしゃがみこむ私と同じく額に手をやりあかんあかんと悶えているピンクの人の後ろ、教室内から的確なツッコミがきた。



「君たち…なかなかやるわね!」



「…三輪くん、出雲ちゃん、あの子と知り合いなの?」


「違うわよ!」



「ちょっと阿呆の子ちゃいます?」




▽▽




「…この度正十字学園に転校してきました、春日いまりです。至らない所も多々あると思いますが、」



よろしくお願いします、と営業スマイルばっちりで丁寧にお辞儀をすればパチパチと拍手がクラス中に広がった。…ふふん第一印象これで完璧、きっと私は「慎ましやかな大和撫子」イメージだろうぐふふふふ。




「いまりちゃん言うねんな!俺志摩廉造っちゅーねん!いやあさっきはほんまごめんなあいきなり教室飛び出して、」



「いいえ、クラスの前でボケッとしていた私が悪いので…」



今、奥村雪男がこの場に居たのなら「シナを創るな気持ち悪いです」とばっさり切られていただろう、危ない危ない…危うく私の慎ましやかな学園生活が…




「おーいいまりっ!お前間違えて俺の鞄に荷物入れてっぞー」




突然がらり、と教室の扉を開けて私の愛食、ビーフジャーキーとちーかまを笑顔で掲げる彼に一言。



「燐くんのばかあああああ!!」



「なっ?!持ってきてやったのに何だよその言い方?!」



「後で覚えてろ…眉毛半分だけ点線にしてくれる…!」



「はあ?!」



私の横に立っている先生は小さくため息をついて奥村燐にクラスに戻りなさいと促し、すっかり驚いているクラスメイトの視線を浴びながら私は空いている席に座らされた。



「えっらいインパクト大な子ですね志摩さん、」



「いまりちゃんかー、後でメアド聞かへんとなあー、」
「し、志摩さん…」




Q大和撫子は目指せますか?


(私としたことが数秒の不覚っ!)

(短っ?!立ち直り早いわあの子っ?!)
(い、出雲ちゃん落ち着いて…)

(すごい一人言やな、)



▽▽


おっさんくさいヒロイン(´^ω^`)


0716