クラスに入りますか?
私、またあの体験をしてしまった。ドアの向こうは廊下なはずなのに鍵を回しただけで全然違う場所に行きつく。そこは実際には見たことのない正十字学園があり、あまりの大きさと綺麗さに目がチカチカしてきた。
「すっ…ごい!すごいすごい正十字学園だ!」
「ちょ、おま、服引っ張んな伸びたらどーすんだ!」
「わーもー兄さん聞いてよ、何だかんだ言って憧れだったんだよ正十字学えーんっ!」
「兄さんっつーな!奥村燐!」
「ほら早速入ろうぞ奥村燐!しっかりしてよ奥村燐!!」
「ちょ、フルネームは恥ずかしいって!」
「…二人ともうるさいですよ。」
くい、と眼鏡を人差し指と中指で持ち上げる奥村雪男の後に続いて前へ前へと歩いていく。左を見ても右を見ても正十字学園の制服、制服、制服。うっはあ私ってばあの正十字学園にいるんだあ、私は今、猛烈に感動している!!はあ、地元の友達に自慢してやりたい。
「…えっへっへ燐くん私ってばあの正十字学園の生徒なんだぞいいだろ〜羨ましいだろ〜略して裏山だろ〜」
「いや、俺も生徒だし」
「ええええええ?!な、そうだったの?!」
「今さら?!じゃあ何だよ俺の制服見てコスプレとでも思ってたのかよ?!」
「…てっへ!」
「可愛くありませんいい加減黙ってくださいああそうですか僕の頼み方がいけなかったんですよねすみませんでは手段を変えましょうかね、」
「ごめんなさいごめんなさいだから教科書の角という名の凶器を私に向けないでええええええ!」
燐の後ろに隠れて奥村雪男と距離を取りながら歩いて早5分。どうやら私のクラスは決まっているみたいで一年二組と書かれたプレートがぶら下がっている扉の前へとやってきた。
「に、二組…!」
「僕達は違うクラスなのでこれで失礼しますね」
「まさかの放置プレイですか!いや、ちょ、どうすれば」
「入ればいいじゃないですか」
「いやいやいやこういうものには心の準備があ…」
「いいから入ってください、僕達を遅刻させたいんですか」
「後は頑張れよいまり!」
「あっ!燐くん!裏切り者おおお!」
ぴょんぴょんと跳ねながら隣りの隣りのクラスへと入っていった燐を追いかけるように、奥村雪男も「せいぜい頑張ってくださいね」と最悪な捨て台詞を残して階段の方へ行ってしまった。ああ、特進コース?とやらは上の階にあるんだっけ。
「…よっしここは気合いだ気合いで乗り切るんだいまり気合…」
「たくわんホームラーン!」
「いぎゃああああ」
すーはーすーはーと息を整えている私は急に開いた目の前のドアから出てきた不思議なコメント(たくわんホームランって何やねん)男と激突した。
Qクラスに入りますか?
(志摩さん何してはるんですかーっ?!)
(うああああああかんでこが、)
(うあああああ色気のないハプニングうう、)
▽▽
子猫さん初めて書いたのに一言で終了(´^ω^`)
0712