「…うわあこの鍵、遊園地にも繋がってるんですね!」



「あっはっは、遊園地だけではありませんよ?」


「きゃーすごいメフィスト様!ステキーダイテー!」



「おだててもあげませんよ。」



「チイッ」




喉をくつくつと鳴らして私の隣りを歩く理事長さん。よく見れば、いやよく見なくてもこの遊園地、この人がモチーフらしい。ほらあの時計から理事長さん出てきたしあの銅像理事長さんだし。




「すごいっすねー、この遊園地。」



「そうでしょう!何たって私が特注で作らせたのですから!」



「特注の範囲が広いーメフィスト様ステキー!」


「おだててもホルモン焼きはあげませんよ」



「チイイッ」



実に美味しかった!と満足気に言う理事長さんをじろりと睨んで鼻を鳴らす。ついでにお腹も鳴らす、お腹すいた。アイムハングリー!プリーズミーモツ煮、枝豆、軟骨の唐揚げ!




「随分爺臭いですね、美味しいですけど」



「女子高生は皆おっさんの仮面を被ってるんすよはっはっは。」



「やめてください私の脳内の女子高生はおっちょこちょいで萌えな女の子ばかりです」



「現実は…儚いものです。」



「信じませんよ、いまりさんが例外だということしか信じませんよ私は。」



「強情なピエロめ。」



やんややんや話していると何やら聞きなれた声が2つ。奥村先生とおっさん先生だ。



「案外早く見つかりましたね」



「ですね!…おーいおくむっうぐ?!」



手をぶんぶんと振って駆けていこうとした瞬間、理事長さんに手を引かれてバランスが保てず後ろにふらつく。開いた口は理事長さんの白い手袋により塞がれてしまった。


「むおっ?!」



「静かに。」



ちょうど建物で向こうからは見えない状態だが、声は地味に届いたみたいで不思議がっている声が聞こえた。…しかし何だってんだいこの状況はよお。




「ひっはひはひふふんへふは!」



「ああ、すみません。私はここで姿を見られたくないので、つい。」



不気味なくらいにっこりスマイルな彼の手から解放されて一歩距離をとる。さっきまでは何も感じなかったのに何だろうこの人、何か、ある。



「はっはっは、そんなに警戒しないでくださいよ。ただ私は、」



「…っ」



ごくり、と唾が喉を通る。目の前の彼はまだ笑ったまま私との距離を一気につめて目を細めた。



「これから起こる出来事が、楽しみで仕方ないだけなんです。」



「…はい?」



「それを貴女が目にするか目にしないかは貴女の運次第、」



「それってどういう意っ」
「では、私はこれで。」



次は仕方ないから冷奴くらい食べさせてあげます、とにやついた理事長さんは私の目の前から颯爽と消えていってしまった。…本当はピエロなんじゃないかと疑ってしまいたくなるくらいに。




「…楽しい、出来事?それって…」
「…いまりさん」
「ひっ?!」



もしかして今日の課外授業のことかなと考えていると後ろから刺さるような冷たい声。体を震わせながらゆっくりと後ろを振り向けばoh!okumuraサン!



「いっ?!痛いです痛いです?!!」



「いまりさーん、何寝坊してるんですかしかもこんな日陰でぼけーっとつったって?」



「いや、今理事長さんと来たんでえええ嘘じゃないですってだから手を離してく…ださ…」



「嘘をつくな。」



「嘘じゃないのに!」




Q 少し怪しくないですか?


(…はあ、今から一言で説明するので今すぐ勝呂くんを追いかけてくださいね。)
(一言?!)
(お化け探し。ほら早く行ってください)
(ええええ?!)