砂糖まみれの休日
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女の子はみんなできるのだと思っていた。やればきっと簡単なのだろうと勘違いしていた。…そんな私がまさかこんな粉まみれになるだなんて誰が想像したことやら、
「俺はぜっっったいそうなると思った」
「ううううるさい燐の馬鹿!」
たかがクッキー、されどクッキー。焼きすぎて焦げちゃった!…なーんていうのはまだわかるけれど下準備の段階で雪みたいに小麦粉をばらまく女の子がどこにいるんだろう、…ああ今ここに立っている私くらいだろうよ!
「んないきなり「クッキー作る!」とか言うからどーなるかと思ったらよ…」
「そ、そんな目で見ないで卵投げるよ!」
「いや、何かお前可哀想だなーって…」
「ほ、ほんとに投げるよごらあ!」
小麦粉をかぶって真っ白になっている私は卵を2つ掴んで目の前でけらけらと笑う彼を睨み付ける、が全然意味がないみたいで「ごらあって、ごらあってっ?!!」とお腹を抱えて笑いだすもんだから熱い顔がさらに熱を帯びる。
「ぶはははははっ!ひー、し、仕方ねえななまえは…ぶっ、」
「…むかつく、!」
「俺が手伝ってやっから…ほら、さっさと小麦粉出す、」
「…え?」
「なまえ一人だとできねえだろクッキー、俺が手伝えば三ツ星クッキーが…」
「調子にのるなよこのすっとこどっこい」
「あべしっ?!」
小麦粉の入った袋を得意気な彼の顔に叩きつければ、私と同じく真っ白な顔に大変身。それを見て思わず笑えば、最初は何すんだあほ!と怒っていた彼もだんだん笑顔に変わっていった。
「っしゃ、作るか!」
「おー!」
小麦粉とバターに上白糖と卵、分量をきっちりはかって手順通りに混ぜ合わせていく。各々好きな形にくり貫いて、オーブンの中へと突っ込んで一息、ああ、何だクッキー楽勝じゃんと満足そうに笑っていると隣りに居る彼も同じく満足そうに笑っていた。
「いやー、さすが俺、超かっこいい。イケメン代表、奥村燐…」
「え?逝け男代表?」
「勝手に殺すな!」
「あー片付けなきゃ」
「無視すんな!!」
横で猿のごとくキャンキャン…ってこれ犬だ。まあ騒ぎ出した彼はあっさりスルーして散らかったキッチンの片付けに取りかかる。掃除機かけないとなあ、
「お、なまえ!良い匂いしてきたぜ!」
「もー燐も手伝ってよ」
「キッチンを粉まみれにしたのはなまえだろ」
「わざとじゃないから!」
ちょっと忘れてたのに、と机を叩いてそう言った瞬間、机に置いていた上白糖の袋がオーブンにしがみついている燐の頭にまっ逆さま。どさっと紺色の髪の毛の彼に白い砂糖がよく映える…
「よく映える…じゃねえええええ?!!調味料は大切にしろ!」
「まさかの砂糖の心配にちょっと感動しちゃった。」
「感動しちゃったじゃねえっつの!」
うげー、と両手で頭に被さった砂糖を払う彼をよそにどうやらクッキーが焼き上がったみたいでチンとオーブンから高音が鳴った。
「く、クッキーだだだ大丈夫かな…?!」
「俺よりクッキーの心配か」
「わ!良い具合だよ燐!!」
「だっから無視すんな!!」
綺麗に焼き上がったクッキーを見て目を輝かせる私に彼はやれやれと言わんばかりに大きくため息をついた。
「せっかくの休みなのに砂糖まみれとはよー、」
「まあまあ、こんな休日もありだよ。」
「…クッキー半分俺のな」
「一枚くらいなら…考えてみる」
「けちくさっ」
オーブンからは甘い匂い、キッチンは白い粉だらけ。相変わらず座り込んだままの砂糖まみれな彼ににっこりと笑ってみせる、
「な、何だよにやにやしやがって…」
「ふふ。ありがとう、燐」
「おっ、おー…まあもっと感謝してくれても?!」
「雪ちゃんに持ってこーっと!」
「ちょ、おいこら待て下手くそ女っ!?」
砂糖まみれの休日
(雪ちゃん雪ちゃんクッキー焼いたんだー)
(あ、ありがとうございます。)
(おいこらてめえなまえ…!まさか俺を置いていくとはなあ…)
(ぎゃああああ真っ白お化けえええ?!)
(兄さんもう白髪?染める?)
企画
食べちゃうぞさまに提出。
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