ロシアンルーレット1






「じゃじゃーん」



重みのあるお重を持って奥村兄弟のいる寂れた男子寮の一室に突撃訪問すれば、片や驚き片や八重歯を見せて笑顔で迎えてくれた。




「じゃじゃじゃじゃーん」


「…いや、あの」



「炊飯ジャーナリストじゃーん」



「リアクションしにくいんだけど」


「ジャージャー麺じゃーん!」
「oh!ジャージャー麺じゃーん美味しそうじゃーん!」
「辛そうじゃんひーはーじゃーん!」



お重を片手で抱えて燐と騒ぎ始める私を呆れた顔で見てはため息をつく雪男、どうやら嫌な予感がするらしい。



「それでなまえさん一体それは…いえやっぱり言わないでください」



「とかとか言っちゃって!本当は気になって夜も起きていられないんでしょうっふふふ!」



「そーそー、雪男のやつ昨日の夜9時に寝てたんだぜ」



「兄さんの矛盾につっこむ元気がないくらい寝てないよ僕」



げっそりとした顔、確かに目の下にはうっすらクマが出来ていた。きっと授業の内容でも考えて頭がパーンってしてたんだろう、



「そういう時は鬼ごっこが良いと思うよ!」



「一体何の話ですかなまえさん」



「雪男が鬼な!」



「二人には言葉のキャッチボールを学んで欲しいな、変化球ばっかりじゃないか」



「そんな事よりこれなんだけどね」



「もういいです勝手にしてください」



めんどくせえ!と言わんばかりの目で私の持つお重を見る雪男と燐に再度じゃじゃーん!とフタを取ってみせた、ふふん自信作なんだからねふふふんっ




「雪男おおおお?何とかしろ中一級だろ?!」



「むっ無茶言わないでくれよ兄さん?!僕もいきなり爆弾なんか見せられたら…?!」
「爆弾じゃねえよおむすびだっつーの!」



失礼すぎる兄弟が爆弾と勘違いしたのは真っ黒な海苔に包まれた白米、まあおむすびだ。それもただのおむすびじゃないところがさすがなまえさんみーたーいーなーね!




「やっぱり爆弾かよ?!」


「落ち着いて!落ち着いてなまえさんそんな早まらなくても…」
「だっからおむすびだっつーのおおおお」



「まじかよ…許せねえ、許せねえよ白米が可哀想じゃねえかなまえ?!」



「ええええそんなに?!そんなに酷い見た目かな普通におむすび作ったつもりなんだけど何か泣きたい?!」



こんなに非難を受けるとは夢にも思わなかった、そもそもおむすびを失敗するなんてある意味才能が…とか雪男にぶつぶつ呟かれてるし。お前の眼鏡も握ったろかこんちくしょうめ。




「…まあいいよ、それより聞いて!これ実は」
「やっぱり爆だ「しつけえよ最後まで聞け!」」



「怖っ?!今大阪のおかんみたいな顔だったぞっ」


「これえ、じつわあ、どきどき!ろしあんるーれっとおむすびでえ〜」



「取り繕ってきた?!」



「だから三人で食べようよ!」
「無理」
「却下」



「…よーしじゃあじゃんけんで勝った人から取っていこうか!」



半強制的に始まった第84回チキチキロシアンルーレット大会、あからさまにげっそりしている兄弟の腕を掴んで真っ黒なおむすびがしきつまったお重の前へと座らせた。


ロシアンルーレット1
(俺…明日から学校行けねえかもしんねえ…)
(胃がキリキリしてきた…)
(はい二人ともじゃーんけーんどーんっ!)


**

続きます^o^←ぐたぐだなのはご愛嬌です(笑)

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