ダブルテイクアウト






俺には好きな人がおる。そいつとはあんまり喋らへん…ちゅうより俺が口下手やさかい、しゃべる時はテンパっていっつも可笑しな口調になってまうんや。



彼女は大人しい子やけど芯が強おて頑張り屋やと俺は思う。見えへん所で人一倍きばっとったり、皆のかなんがる仕事を自ら引き受けるんや。そんな彼女が心配で俺が大丈夫か?って聞いた時に、皆の役にたてて幸せだから、大丈夫。と屈託のない笑顔で言わはった彼女にひかれてもうたのかもしれへん。



せやけど彼女には好きな人がおるんや。それは俺の身近な奴で、俺よりずっとずっと女の子に対しての態度とか言葉を知っとって俺よりずっと彼女と仲がええ。羨ましくないっちゅーたら嘘になるけど俺はそれを見とるだけしか出来へん。



「…はあ、」



「どうしはったんですか坊?」



「うおっ?!こっ、子猫丸かいな…」



「悩んでるみたいですけど…」



「いや、別に大丈夫や」


「なまえさんのこ「ちっ違うわ!」」



べっ、別にあいつの事なんか考えとらんわ!と耳まで赤くして慌てだす彼を見て子猫丸はため息をついた。







私には好きな人がいる。その人とはあんまり喋らないけど…というより私が口下手な訳で、だから話す時はテンパっちゃっていつも可笑しな口調になる。



彼は見た目は不良みたいだけど人一倍真面目でしっかりしてて頑張り屋さんだと私は思う。見えない所で努力してて、何だかんだ言って皆の面倒を見てくれているのだ。そんな彼が心配で、私が大丈夫ですか?って聞いた時に、あいつらがああやししゃあないやろ、まあ…大丈夫や、と少し恥ずかしそうに言った彼にひかれてしまったのかもしれない。



だけど彼には好きな人がいた。それは私には決して手の届かない彼の幼なじみで、私よりずっとずっと彼の事を知っていて彼も彼女の事を知っていた。羨ましくないよって言ったら嘘になるけど私はそれを見ているだけしか出来なかった。



「…はあ、」



「なまえさん?どうしたんですか?」



「えっ?あ、お、奥村くん…」



「何か悩みでも?…もしかして勝呂くんの事で…」



「いいいいいや!違うよ!」



別に勝呂くんの事じゃないよ!と真っ赤な顔をして声をあげる彼女を見て奥村雪男はため息をついた。




「べ、別にあいつ、志摩の事好いとるみたいやし、」



「べ、別に勝呂くん、あの子の事好きだと思うから、」





(坊となまえさん、)
(なまえさんと勝呂くん、)


((両思いなんですけどねえ、))



▽▽


羽依さまリクエスト
(甘甘、両思いなのに主→志摩と勘違いして一歩踏み出せない勝呂さん)

お互い一歩踏み出せない感じになってしまいました、そういえばこんなのaphでも書いたなあ…と思いつつ。リクエストありがとうございました!

0814


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