お着替え中!








女の子に生まれたからにはとびきりお洒落にしなくちゃ。まずはヘアスタイル、今日はコテで緩く巻いてみようかな。うん、良い感じ!ヘアスタイルが決まったら次はお洋服ね。大きめのリボンにふわふわしたワンピース、アクセントにストールをまいてほら出来上がり!



「ぶふっ…ナイスムチムチボデイ…!」



「なあ、殴ってええか?」



いかつい顔をした勝呂くんが驚くべき変化を遂げる数時間前に遡ってみよう。8月に入ってからすぐのこと、志摩くんや子猫丸くんが「坊の誕生日、何買いましょうか」と話しているのを聞いていた私は出来るだけ大きいサイズの女物の服を買って男子寮へと彼を訪ねにいったのだ。



「やっ!」



「…何やねん、」



「そんなにあからさまにげっそりされると傷つくよ〜お詫びにこれを受けとるがいい!」



「…何やねん、」



「何やねんしか話せないのか勝呂くんめ!お詫びとしてその中にある服着てくれなきゃ叫ぶからね!」



見た目が見た目だからか、私の行動が読まれているのか定かではないが疑いの眼でいかにも女の子〜な袋をまじまじと見つめる勝呂くんは一度ため息をついて中身を袋から引き上げて再度ため息。



「…何やねん、これ」



「誕生日プレゼント?」


「…俺の性別は」



「男!」



「ようわかっとるやん、じゃあ何で…」



「でも勝呂くんは心はれっきとした女の子!」
「くおらっ!んな誤解をうむような事大声で言いなや!?」



場所は男子寮、廊下で甲高い声が響くと周りに筒抜けになってしまう。それに焦りを感じた彼は余計な事をペラペラと喋りだす彼女の口をふさいで部屋の中へと引きずった。




「っぐむむぼぼ…」



「変な噂できたらなまえのせいやぞ…」



「ぼっ、ぼべぼぼぶっ」



「しかも隣り志摩やぞ?!聞かれとったら最悪や…」



「ぶぶぶぶはっ!こ、殺す気か、っ!」



引きずられてからずっと酸素が恋しい状態であった私はようやく勝呂くんの手を剥がして大きく息を吸い込む。本当に殺されてしまうのではないかと思ったよはあひい。



「あー、大丈夫か?堪忍な」



「悪いと思ってないよね勝呂くん。」



「あんまりな」



「…志摩くん家に駆け込んで「勝呂くんに犯されそうになったの!」って…」「絶対言うなや」



「勝呂くんがその服を来てくれるなら…言わないよ!」



「っ」



我ながら良い笑顔だと思う。脅迫だなんてそんな言い方の悪い、これはお願いだよ。



「嫌なやっちゃなお前は…」



「ほらほらさあさあ!それとも…私が着替えさせてや ろ う か」



「阿呆か!」



にやにやと笑う私の頭を叩く彼はぶつくさ言いながら私を置いて違う部屋へと入っていった。そんなに噂されたくないのかと思いながら殺風景な部屋を探索。私の部屋とは大違いだなあ、荒らしてやる。



ごそごそ動く音が止まったのを察知して勝呂くんが入っていった部屋をコンコンとノックしてみる。



「…あ、勝呂くん着替えた?」



「…出とうない」



「早く出てきてくれなきゃ…私…!」



「嘘や嘘やだから変なこと言うなや!」



これから開こうとする扉のドアノブがゆっくり回るのを期待して見た。ここで冒頭に戻る訳で。



「ねえ勝呂くん写真撮っていいかな」



「撮ったらほんま襲うで。」




お着替え中!

(メイクしたら女の子に見えるかな)
(絶対させんで)



▽▽着替え中オマケ

「勝呂くーん、エロ本がないよー」


「ないわボケ!」


「不健全な男め。」


しゅがーさまリクエスト
(女装させられる勝呂さん。)

何てシュールな話に(´・∀・`)リクエストありがとうございました!


0812
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