草食おやぶーん
◎草食だんしりーず1
(親分の場合)
草食男子。世間でそう言われ始めたのはいつからであろうか、つい最近の事のような気もする。そう言われる彼ら達の共通点を端的にかつ簡潔に言えば「やりたがらない」だ。
いや、やりたがらないであはんな事を考えた人はとりあえずベッドの上で前転して落ち着こう。…まあ確かにそういった行為も含めてだがとにかくやりたがらない、したがらない。
私だって女の子だもの、何もされないって彼女として不安で脳内がぱんぱんになる。…肉食女子なんて言われるようになったのは、したがらないやりたがらない…要するにある意味シャイな男が増えたせいだ。多分だけど。
「トーニョっ!」
「わっ?!なまえちゃん?もうびっくりしてもうたー」
「あはは、すごい声だった」
「そんな声出しとらんよー」
読んでいた雑誌を閉じてぷくーっと頬を膨らませる彼に後ろから抱きつく私。普通のカップルならここから寄り添って…みたいになるのかな、まあ予想通り私達にはそんなことないけど。
「なまえちゃん離したって?」
「えー、何で?」
「首がくしゅぐったいわあ」
「くすぐったい、じゃないの?」
「えーくしゅぐったいやないん?」
はははと爽やかに笑う彼はうまいこと私から距離をとる。これにどういう意味があるかは私には謎だ。
「何かお腹へったなあ、」
「そうだね、もう夕方だし」
「よっしゃ!俺が何か作ったるで!」
「おお!」
パエリア食べたーい!と手を挙げるが材料がありませーん!と対抗された。じゃあ買いにいきますかって事でコートを着て家から出る、あー寒いねとさりげなく近づくが微妙に距離をとられた。…ちょっと殴りたくなったのは秘密だ。
「はいなまえさん、何を買いますか。」
「はいトーニョさん、トマトと魚介類系です。」
「ぶっぶー、シナモンも買いますー」
「パエリアにはシナモンは入りませんトーニョさん。」
「チュロスですよなまえさん。」
スーパーまでの道のり、会話はラブラブだぜ!って感じなのにこの距離感。彼の手を狙えど、いつもポッケの中だしどうしようもない。
「なまえ、」
「何?」
でも、
「ずっと一緒におってな、」
そう笑う彼は太陽みたいで私の不安分子を全部浄化するのだ。…うん、草食男子もいいんじゃないかな。たまにデレるツンツンデレみたいに難易度高い方が、ね。
次は手を繋ぐと目標を定めて。
(あ、トーニョトマト買いすぎ!)
(これが普通やで!)
(普通じゃない!!)
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草食だんしりーず1
まずは親分でいってみました。連載したいがいやしかしやり過ぎなのでとりあえず色んなキャラで草食男子させようかと。
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