本領発揮な眉毛
「わー…凝ってんねー…」
「まあな、ハロウィンは俺本気だすぜ?」
「何故誇らしげなんだ。」
本領発揮!
(すごい!牙までつけて!)
尖り帽子?いや麦わら帽子でアーサーの家に出陣!いつもの家の風格はどこへいったのか、がらりと変わって不気味な館になっていた。
中へ入ると麦わら帽子の私にツッコミをいれることなく(というか見てなくないか?)急に高笑いをしはじめた。え、どうした情緒不安定か。
「改めてようこそなまえ、」
「あー…ども」
「何でそんなに冷めてんだよ。もっとテンションあげろよ。」
「そんな無茶な。」
しらけた私はお構い無しにばっちりドラキュラの格好をした彼に中へ連れていかれる。玄関から廊下、部屋までハロウィン仕様、さすがに金がとぶんじゃないか金が。
「毎年やってるの?」
「ああ、毎年デザインは違うんだぞ。」
「破産するんじゃない、アーサー?」
「しねえよ、」
それより、と首をぐるんとこちらへ向けてきたアーサーは何か期待した目で私を凝視する。
「トリックオアトリート、って言わないのか?!」
「言わない。」
「何でだよ」
「…両方欲しくないし…さ」
「ほお、どういう意味だ。」
「そういう意味だ。」
何秒かぎりぎりと視線をぶつからせる、先に折れたのはアーサーで、はあとため息をついた。よし勝ったと思ったのも束の間、口元にいやらしい笑みを浮かべた彼を見て背筋がぴしゃり、と凍った。
「まあいいぜ、いらないんならよ、」
「おーっと何近づいてんですかね、」
「まあ次は俺からってことで、」
「ちょっと無視しないでー。近い近い近い。」
「なまえ、」
「っ」
「トリックオアトリート、?」
(ばかばかアーサーの馬鹿!)
(お菓子持ってないなまえが悪い)
(だからってくっ、首っ!!)
(まあ、ドラキュラだし、)
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この後、眉毛が首に噛みついてきます。書こうか迷った結果こっちのほうがまとまったんで、
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