赤い騎士 | ナノ



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弱きになりつつある自分の気持ちに、苛立つ。

幻覚というのは、よほどの腕前でないと使いこなせない。

私でさえ、匣兵器や何か道具を使わないと、出すことは難しいのだ。

そんな、普通の人間だとは思えないほどの気を出すあいつは。



―――――一体、何者なんだろうか。



「ディルさーん、」

「…どうかしたか、春奈」

「暇してるなら手伝ってくださいよー〜」

「…暇なわけではないんだがな」



ここ数日、有人と少しは打ち解けたと同時に、他の人とも親しくなった。

特にこの春奈は、有人の教室にまで出没する。

気に入られた、のだろうか。

まあ、悪い気はしないのだけど。



「さっきからケータイいじってばっかりじゃないですか」

「仕事中だ」

「仕事、ですか…?
そ、そういえば、ディルさんって…」



―――――ディルさんって、一体何歳なんですか?



「私か?」

「はい!」



私は何故か、春奈にキラキラとした視線を向けられた。

何歳ってことは、年齢のことだよな。

別に隠すような事でもないので、私は応えようと口を開いた時。



「音無さーん!」

「はい!なんですか木野先輩」

「もうすぐ休憩だから、こっち手伝ってくれる?」

「あ、はい!分かりました!」



私はベンチに座って片手は膝の上のパソコン、もう片手でビデオカメラを操作している

春奈の隣に立って、監視をしていた。

私に質問をしようとした春奈は秋に呼ばれ、ボトルと冷やしたタオルを持った秋を手伝いに行った。

去り際に、また後で教えてくださいねと言った春奈は、グラウンドを忙しそうに駆け回っていく。



日本の高校生、っていうのは―――――大変なんだな。



私はそう、他人事のように感心していた。










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