Nero e bianco | ナノ
※赤い騎士の番外編
27で出てきた了平さんのピザの話
名前はデフォ名で『ディル』だけど名前でてこない



ヴー、ヴー、ヴー、…―

「う、うるさいなあ」

ぱしんっ

「あ、やべ
やっちった…」










――、―――

「あ、了平さんも非番ですか」
「おう、やっと起きたか」

隼人から貰った目覚まし時計というやつは、耳に障る独特の音を立てて鳴り響くので
思わず手が出た。
もちろん止めるためだけど、強めに出てしまったのだからしょうがない。

―――壊れてしまった。

といっても、私がこの目覚まし時計を壊すのは、確か4度目。
壊す度に、文句こそはいうものの、新しいものを買ってきてくれる隼人は、本当にお母さんだと思う。
今日、隼人が帰ってきたら正直に言おう。

「あ、もしかして昼食作ってくれてるんですか?」
「ああ!
この間沢田と言ったピザ屋の味が忘れられなくてな」

少し伸びをして、食堂に入る。
するとそこにはエプロン姿の了平さんが、何やら袋の中身を測りで図っていた。
ほら、と見せてもらったのはレシピ。
かなりの走り書きのようだ。
いや、癖字なのか?
了平さん曰く、そのピザ屋のおじさん直伝のピザだそうだ。

「手伝いましょうか?」
「いや、その綺麗な服が汚れるだろう」

後で沢田に怒られるのはオレだろうからな、と聞こえたのは気のせいだと思いたい。
本当に、綱吉はどうかしている。
というか、頭の問題だろうか。
ボスとして、純粋に尊敬はしている。
それよりも、隼人以上の過保護なのが問題なのだ。
屁理屈かもしれないけれど、生まれ月も私の方が先だし
キャリアも上なんだから、そんなに心配しなくたっていいのに。

「まあ、そうですね
でも本当に、なんで私がこんなこと…」
「極限に似合ってるぞ!」
「…Grazie(ありがとう)」

ちなみに私は、最近の休日はもっぱらスカート着用を義務付けられている。
何故かと問われれば、表上の設定というか、立場というか
私の名前はEllis(エリス)、綱吉の婚約者だそうだ。
言っておくが、これは師匠や上の人が勝手に決めたことであって
私と綱吉は、そんな関係ではない。

まあ、そんな設定なわけだから、綱吉が出席するパーティーには必ず着いていかなくてはならない。
女として。
女顔だからいいだろう、じゃないですよ師匠。
コルセットも義務付けるとか、まじ勘弁。
今日はかなり腕を出して、薄い桃色、ノースリーブの膝丈のワンピースだ。
足元は、ヒールの高いパンプスなわけだから、歩き辛いったら…。

「じゃあ、私はコーヒーでも入れますね」










「それで、これは…」
「うむ、見事に焦げたな」

ブラックコーヒーを、綱吉に言われたように
ミルクや砂糖を入れて飲んでみたものの、見事に吹いてしまった。
不味い、これは、しぬ。
女らしい行動を身につけろと言われているが、コーヒーの好みくらい別にいいだろう。
後から俺の好みがそういう女だから、とか付け足されたのが無駄にむかついたしな。

「まず、具が乗ってませんよね」
「ああ!
極限に忘れておったぞ!」

うわあー
あちゃー

そんな溜息をつきっぱなしで、
残った材料でどうにか作り直そうとした私の隣に立とうとした了平さんを、全力で追い返すことに成功した私は

数時間後、流石に音を上げるのだった。





(おかえり隼人、あのな…)
(! また壊したのかお前!)
(ああ、それと…)
(獄寺!極限に腹が減った!)
(何でだよ、今昼の3時じゃねえか)
(いやあ、なんというか、そのー…)
(…せめて掃除くらいしろよな)
(本当に今回は、私関係ないんだが)
 



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