正しい人助けの仕方 | ナノ

▲ 2−3





科学準備室は、チュウさんこと中馬のマイホームとも呼べる場所である。

授業以外の時間はほぼそこで時間を費やし、日々自身の趣味のような研究を行っていた。

無気力、無関心、無神経と三拍子揃っている中馬の研究は、決まって何か爆発が起こる。



―――――決して、爆薬を作っている訳ではない。



自身の目標に至るまでに、何故か爆発物が生まれてしまうだけ。

本人曰く、この才能を他に活かせないか、とのこと。

いや、適当に実験をするだけで爆発物を作ってしまうとか、どんだけだよこの教師。

ニックネーム達も幾度となくツッコんではいるものの、未だに解決しない悩みの種の一つであった。



中馬「…いう訳で、その爆薬を球状のカプセルに封じ込めてみた
あの―――ほらあそこ、校舎の裏の方によ
ちょっとした空き地みてぇのがあったろ」



―――――おめーらそこで、コレ爆破してこい



『な、なに言っちゃってんのこの人ー?!!』

ヒメコ「頭沸いとんのやろあんた!!?
何でアタシらがそんなことせなあかんねん!!!」

中馬「だっておめーらスケット団だろ?
困ってるんで助けて下さい」

『スケット団だからって、何でもする訳じゃないからね?!!』



いやいや、その前に生徒に爆弾処理させるっておかしいでしょ!

ニックネーム達の抗議は、めんどくさいの一言で軽く流された。

マジか、マジでか。



ヒメコ「もうその頭もろともフッ飛んで来いや!!」

中馬「オイオイ、おめーらオレにそんなこと言っていいの?」



突如神経な顔をして、ニックネーム達に向き合った中馬。

あ、これは何か企んでる顔だ。

直感と経験から、ニックネーム達は警戒した。

さあ、どうでる?

チュウさんのことだから、顧問やめるとか言い出すんじゃ…



中馬「辞めちゃうよ?スケット団の顧問」



やっぱりー!



中馬「オレ以外にやってくれるヤツ居ねーぞ?多分
解散だぞ?いいの?機嫌損ねて」

『(出た!!
もう…ホントこの人は…子どもなんだか、ズル賢いんだか…)』

ヒメコ「(タチ悪いわぁ)」



ニックネーム達があきれてものも言えない状態だなんて知らずに、中馬はふと視線の先に何かを捕えた。



中馬「おい、なぜかここにリュック背負った猿みてーなニックネームが居るぞ?」

『それはリュック背負った猿でいいの!!』

ヒメコ「今預かっとんねん
依頼人の大事なペットや
それからチュウさん?ニックネームと、このエロザル間違うなんてあかんよなあ?」

[ヒメコは殴ってたけど
絶対に殴ったりしちゃダメだぞ☆]

ヒメコ「あ?なんや?
チュウさんも殴ってええんか?」

中馬「ん?オレ何にも言ってないぜ?」

『ちょ、ちょっと収拾つかなくなるから、みんな一回落ち着こうか!』



ペットの世話もするなら、爆弾処理くらいやれという中馬。

できるかい!!

さすがにニックネームも普段のスルースキルと自己解決は発動出来なかった。



そんな会話を繰り返しているうちに、何やらイエティが爆弾をいじり始めたことに気が付いたニックネーム達は、顔を引きつらせた。

ちょ、ちょっとチュウさん、ちゃんと持っててよ!



中馬「おい、気をつけろよ
割と簡単にフッ飛ぶからな、ソレ
校舎なくなるよ?」

『何で「もうシャンプーなくなるよ?」みたいなノリなの!!』

中馬「ハハハ
冗談冗談、そんな威力ねーよ
せいぜいこの部室がフッ飛ぶ程度だ」

ヒメコ「アカンやろ!!」



ああ、チュウさんがいると、ろくな事起きない。

思わず本人の前で呟いてしまったニックネームだったが、これは事実です。

さすがの中馬も、何も言わなかった。