50000! | ナノ
※ロココ・ウルパ成り代わり・女主





アフリカにある小さな国、コトアールで生まれ育ったなまえは、小さい頃から弱虫だった。

女の子なんだから、強くなくたって、泣いたっていい?

違うよ、それは普通の女の子の話。

いつだったかなまえは、ダイスケのサッカーに魅せられて、格好良くなることを目指し始めた。

それは今も続いている。

だから、今はそんなことは絶対しない。



太陽に恵まれた母国は、南国の鮮やかな花が咲き誇り、人々もゆったりしたリズムに合わせて生活している。

なまえもそのリズムが好きだし、気候と同じように暖かい雰囲気が漂うこの国は、なんだか優しい気持ちになれるような、そんな場所だった。



「あ、ダイスケ!」



朝の日差しに負けないくらい映える、目の前に見えた赤いキャップに思わずなまえの体が疼く。

少し助走を付け、わざと勢いを増させて飛び付くと、豪快な笑い声が響いた。



「なまえか、朝から元気だな」
「おはようダイスケ!
今日もいい天気だね!」
「おう、そうだな」



今年、少年サッカー世界大会が開かれた。

ダイスケに教えて貰ったサッカー。

強さを求めたかった訳じゃないけど、なまえの頭の中はサッカーしかないから、知らずのうちに身についていた技術を武器に、なまえは国の代表選手になった。

大会は、準優勝の成績をおさめた。

あっという間に戦いは終わった。

だから、母国をイメージして作られたらしい、ライオコット島のコトアールエリアの宿舎に泊まるのも後少し。

少しの間だったけど、思い入れがあるし、新しい地で出会った新しい仲間とも、別れなくてはいけない。



なまえはなんだか悲しい気持ちになっていた。



「荷物は片付けたか?」
「うん、
ホントにもう終わっちゃったんだね
あーあ、せっかく友達がいっぱい出来たのになあ」
「そう悲しそうな顔をするな、なまえ
またいつでも会えるさ」
「ダイスケはどうするの……?」
「わしか?
…………心配するな、わしはコトアールに帰るぞ?」
「よかったぁああ!
マモルとジャパンに帰っちゃったらどうしようって思ってたんだ…!」



ダイスケ、大好き!

なまえは再びダイスケに抱き付くと、ダイスケはよろけながらも受けとめてくれた。



「あ、そうだなまえ
今日の休みは何するんだ?
もう決めたか?」
「うーん、どうしよう……」



やることがないなら、頼まれてくれ。

そう、なまえに言ったダイスケの顔が、何かを企んでいるいたずらっ子のような表情をしていたなんて、なまえは知らなかった。

だって、なまえにとってダイスケの言葉は絶対だ。

頼まれた、頼られたことに、なまえは幸せを噛み締めていたのである。

変?いや、この師弟には普通のことである。










**********





なまえがダイスケから預かったのは、マモルの家族宛ての手紙だった。

マモルと一緒に撮ったらしい写真を添えて、相変わらずの達筆で書かれた手紙。

マモルの家族、ちゃんと読めるかなあ?

まあ、マモルが読めるから大丈夫かな。

なまえは自己解決で済ませた。



なまえにとって、ダイスケは師匠であり、父のような存在。

そんなダイスケにも、血の繋がった家族がいるわけで。

う、優しく慰めたりなんて滅多にしないダイスケに想われてるなんて、ちょっと悔しい。

そう、なまえが口に出せば、ダイスケはまた豪快に笑いながら、なまえの頭を撫でた。



―――――わしらは血の繋がりなんて関係ないだろ?



まあ、要約すれば、「血が繋がってなくても、なまえとダイスケは家族みたいなもんだ」というような意味で。

なまえはちょっと―――いや、かなりご機嫌なのである。



「と、いうわけでして」



嬉しくてたまらない。

尻尾が生えていたら、間違いなくちぎれないばかりに振っていたであろう。

なまえはいつになくご機嫌で、キュロットスカートとは言えど、スキップをし始めそうで、なまえの両隣―――この場合、双璧とでも言えそうな二人は、複雑な心境だった。

顔を真っ赤にして、嬉しさを堪えている姿も可愛いけど、スキップする姿もきっと―――いや、絶対可愛いだろうけど、やめてくれ、これ以上変な虫を寄せ付けないでくれ!

残念、二人の思いは届かない。

なまえはおさえきれずに、ついにはマモルに飛び付くように寄って行ったのである。

マモルも万更でもなさそうだ。

ああ、やっちゃったよあの子。



「よし、目的も達成したし、帰るぞなまえ」
「えー?もう?
まだ他になんにもしてないじゃんかー
ウェンディのケチー」
「ケチでもなんでもいい
(頬膨らませるとか……!可愛すぎるだろ!!)」
「なまえ、もう帰っちゃうのか?
一緒にサッカーやろうぜ!」
「だが断る」
「え?!なんでゴーシュが答えてるの?」
「……帰るぞ、なまえ」
「流されたー?!」



暇だから、と着いてきてくれたウェンディとゴーシュにマモルから引き離され、さらには逃がさないとでも言わんばかりの力で両腕を握られ、逃れることの出来なくなったなまえ。

なんで。

なまえは頭に沢山のクエスチョンマークを浮かべていると、玄関先で騒いでいたからなのか、人が集まって来てしまっていた。



「あ、リトルギガントの…!」
「え?
……女の子だったの…?!」
「今更ー?!」



今日は休日だから、なまえはユニフォームを着ていないし、試合では縛った上にワックスでガチガチに固めていた髪も下ろしている。

まあ、小さい頃から、男の子に間違われることは多かったから、慣れてるけど。

リューに似た子の発言に、一人感傷的になったなまえを見て、ウェンディとゴーシュの眉がつりあがったのが分かる。

え、怒ってる?

なまえは 危機を 感じた!



「どうしたの二人とも…?」
「やるか、ゴーシュ」
「ああ、そうだな」
「え?ちょ、ちょっと待ってよ!
なんでサークルプレードライブの体勢に?!
八人技でしょ?なんで出来てるの?!」



なまえの嫌な予感的中。

なまえは叫びながら、タマシイ・ザ・ハンドを発動させたのは言うまでもない。










**********





なまえたちは入り口で騒いで、迷惑をかけてしまったのに、イナズマジャパンの人たちは心やさしく宿舎へ招いてくれた。

まあ、主に原因はゴーシュとウェンディなのになあ、と思いながらも、なまえもキャプテンとして頭を下げた。

なまえは自分と同じように、迷惑をおかけしてすみませんと二人の頭を無理矢理下げさせた。

あからまさに不機嫌だと二人の顔に書いてある。

はは、キーパーなめんなよ。

そう簡単に負けるわけないじゃない。

ぐぐっとなまえはさらに腕に力をこめると、観念したのか、少し二人の力が弱まった。

女は怒らせるとコワイ。

今日の二人の教訓である。



「なまえ、サッカーやろうぜ!」
「円堂、お前はそればっかりだな」
「マモルもわたしも、サッカー馬鹿だからね!」
「なまえ、威張って言うようなことじゃないぞ」



同じような容姿の二人が同時に突っ込むものだから、思わず吹き出して笑ってしまったなまえに、突っ込みが入る。

何故。

むーっと不機嫌さを丸出しにして拗ねていると、なまえは優しく頭を撫でられた。

うん?………キ、ヤマくん?

ああ、FWの?うん、よろしくね。

あはは、別になまえでいいよ。

な、か、可愛いとか、そんな訳ないってば―――あ゛でっ!ちょ、ちょっとゴーシュ何するの!

殴ることないでしょ?!

助けてウェンディ!ってもう睨まないでよ、コワイ!

もう、今日はみんな不機嫌なんだから。

ゴーシュとウェンディの心、なまえ知らず。



「試合形式でやるなら、なまえ達の方が不利だよな?」
「ううん、大丈夫大丈夫
うちのエース達がちゃんといるから」
「ってなんでホントに試合やることになってるんだよ?!」
「ウェンディナイスツッコミ(ぐっ」
「ぐっじゃねえよ」



それに、もうすぐだと思うから。

なまえがそう小声で口に出すと、聞こえたらしいイナズマジャパンメンバーは首を傾げ、ゴーシュとウェンディは溜息をついていた。

この後の展開が読めているからである。

しょうがない、諦めてアップでもしてくるか。

なまえのいってらっしゃーいという声に見送られ、二人は上着を脱いでユニフォーム姿になり、グラウンド周りを走り始めた。

はあ、もううちのキャプテンはしょうがないなあ。

またもや二人の心、なまえ知らず。



「もう!いつまで騒いでるんですか!
遅いじゃないですか!」
「あれ、ケーンどうしたの?」
「どうしたの、じゃないですよ!
聞いてましたかなまえさん?!」
「ごめんってば
それよりさ、試合するよ試合!
みんな集めてきて?」
「来て早々無茶ブリー?!」



ゴーシュとウェンディの予想的中―――チームメイトが、なまえを心配して探しに来ていたようだ。

日頃から過保護過ぎるチームメイトに、なまえは有り難くもあり、少し迷惑していた。

だから、今回後をつけてきているのに気付きながらも、わざと気付かないフリをしていた―――つまり、確信犯である。

ま、たまにはいいでしょ。

いつも気付いても黙っててあげてるんだから。

「呼んできました!」お、早いねケーン。

その姿が一瞬、飼い主に褒めてもらいたい一心で頑張った犬のように見えたのは、事実である。

なまえに見事に手懐けられた一号、ケーン・サイトーここに参上!



「ウォルター、息切れしてるよ、大丈夫?
小さい組は、ユームにマロン、マッコール、ね、OK
あとはキートにドラゴ、スキッド、
ああ、メイガーとジニーもね、忘れてないってば!
……リューはいい加減離れようね
いたいたマキシ!指示お願い!」
「分かった
ちなみにシンティもちゃんといるからね、なまえ」
「あ、ごめん
普通過ぎて気付かなかった」
「ひでえよ!」
「ウソだってば、ごめんシンティ」



自分達のエリアではなくジャパンエリアだとか、関係ないのがリトルギガント。

キャプテンに似て、みんな自由なのである。

ウォルターが緊張のあまりお菓子を馬鹿食いしているとか、ドラゴの強面にメイガーが冷や汗をかいているとか。

マキシとなまえがシンティをいじってるとか、そのなまえにくっついているリューをウェンディとケーンが引き剥がそうとしていたりとか。

その自由さに、誰もが突っ込む要素を見つけているのに、マモルだけは違うようで、瞳を輝かせていた。

つまりあれである、強い相手がいる!やべ、テンション上がる!―――サッカー馬鹿の状態である。

ちなみに、なまえも似たような状態で、走り終わったゴーシュとウェンディに落ち着けと肩を叩かれていた。



「さ、順位とか関係なしに
楽しくサッカーやろうよ!」



あ、今わたしいいこと言ったかも。

そうなまえが思わずどや顔をしたのも、リトルギガントのいつも通りである。










リボン探しの旅





遅くなった上にダメ文ですみません…!
完全に俺得…! 
そしてあんまりジャパン絡んでないという…
最初は落ちをダイスケに持っていってもらおうと思ってダイスケメインで書いたんですが
結局採用しず…すみません余談です(; ・`д・´)

こんなやつですみません、これからもNero e biancoと時松杏をよろしくお願いします。


お題:alkalismさまより


11_07_24