50000! | ナノ
※吹雪敦也成り代わり・女主





どうもはじめましてこんにちは!
わたしはある日目が覚めたらありゃまビックリ、成り代わりというヤツをしていた。
それもまあ、幸運というかなんというか。
大好きなイナズマイレブンの世界に生まれ変わったのだから、もう、幸せ過ぎて…はあはあしそうです。
主人公の円堂守を筆頭に、イケメン揃いなのはもちろん、男の娘もいるわ、BL要素もあるわで、もうジャスティス。
それにショタコン、ロリコンであるわたしには、中1から小学生キャラはもうドストライク!
まあ、キャプテンが童顔で天然という素晴らしい特技をお持ちであるから、悪役でさえも虜にしてしまうという…軽くギャルゲーである。
ごほんごほん、取り乱しました失礼。

ちなみにわたしが成り代わったのは、原作中にはちょこっとしか出てこなかったけど、かなり重要なキーパーソンになる―――吹雪敦也くんなんです。
ピンクのツンツンの髪の毛とか、つり目とか、お兄ちゃん同様、可愛い要素がたくさんあるキャラクター!
まあ、なんて素晴らしいんでしょうか。
不細工のわたしなんかでも、成り代わればかなり可愛い女の子に―――そうです、吹雪敦也の女の子バージョンになってしまったようです。
こんなことって、アリ?

幼少期、ふにふにのマシュマロみたいに柔らかくて真っ白な頬っぺたに、素晴らしいアニメ声。
ピンクの髪なんてありえねえよって最初こそは思ったけど、なかなか様になっていて驚いた。
でも中身は変態ちっくなおばさんです、とはさすがに言えないので、わたしは素直に成り代わりの人生をエンジョイしていた。

でもね、着々と近づいてきたんだ。
なにがって?
もちろん、敦也きゅんの死亡ルートだよ。
確か、ジュニアチームの試合後、自宅に向かう途中に雪崩に巻き込まれるんだったよね。
でもそんなのごめんだ!
こんなあどけない可愛い幼女のまま、終わるわけにはいかないもの!
ちゃんと生きて、士郎お兄たんと一緒に雷門イレブンに逢うんだから!
とかなんとか言って、わたしはなんと……!
無事に生きていますよ。
おんとし13歳です!
原作覆したぞこのヤロウ!
かなりしにかけたけど。

舌足らずな言葉遣いで喋るのはかなりめんどくさかったけど、年相応な幼女を演じてきたわたしは、結構な役得に恵まれているみたいなんだよね。
幼少期の白恋メンバーは特にやばかった。
てらかわゆす。
もう、いつも鼻血を抑えるので精一杯だったよ。
喜多見くんと烈斗くんに挟まれた士郎お兄たんとか、紺子ちゃんとまとろちゃんに挟まれた士郎お兄たんとか特にね。

もう、士郎お兄たん最強だよ。
可愛すぎるぞこのヤロウ。
鬼道とか豪炎寺みたいにシスコンなわけではないだろうけど、このお兄たんはかなり優しい。
べ、別に夏未嬢とか、不動とかのツンデレが嫌いなわけじゃあないよ?
ツンデレは大事な萌要素だし、うん。
…ああ、話が脱線した、すまそん。
ま、とにかく素晴らしくお優しいのである。
こんなわたしが妹で申し訳ない。
あ、でもわたし、エタブリ出来るかんね!
試しに見よう見まねの、かなり薄い記憶を頼りにやってみたんだけど、出来ちゃったかんね!
へへーん!どーだどーだ!
お陰で女子なのに、サッカーやってんだぞおら。
女子だから自重してベンチウォーマーをしようと思ってたけど、何故か中学でもスタメンだぞおら。



「なまえ、次は何する?」
「うーん……
スノボーは昨日したし、スキーより……スケートかなあ‥」
「そっか!
じゃあスケートにしよっか」



「うん!」と、大きな声になまえちゃん特製スマイルを付ければ、何故か士郎お兄たんは顔を真っ赤に染め上げた。
え、気持ち悪かったかな。
「大丈夫?」と、声を掛けようとしたとき、士郎お兄たんのケータイの着信音―――今流行のアーティストの曲が鳴った。
ちなみにこの曲は、わたしとお揃いにしているんだぜぃははっ。



「もしもし、雪野くん?―――え?あ、ほんとだ
ごめんごめん、すぐ行くね
え、…………あ、うんわかった、じゃあまた後で」



「なまえ、もう部活の時間だよ
スケートはまた今度にしよっか」
「え?あ、もうそんな時間?!
そうだね、スケートはいつでも出来るし……急ごう?お兄ちゃん」
「僕らにお客さんが来てるんだって」
「また、お客さん?」



最近、誰が付けたのか、わたしたちのことを「雪原のプリンス」だの、「熊殺しの吹雪」など、勝手なあだ名が噂に噂を呼んで、人を寄せ付けてくる。
原作通り、士郎お兄たんについたあだ名ではあるけど、わたしがいる以上士郎お兄たんはFWではなく―――DFをやっているわけだから、「熊殺し」の方は、わたしに付いたあだ名である。
山親父なんて、倒したことないのになあ。
でも、人が寄ってくるわりには、雷門イレブンはなかなかやってこない。
ああ、まだかなあ。

なーんて、わたしが一人物思いに耽っていると、ふいに手に温もりを感じた。
ん?なんだ?手、繋がれてる?
今の状況で、わたしの手を握るなんて、一人にしかできない。
顔を上げると、こりゃまあなんと!
士郎お兄たんが、素晴らしい笑顔で微笑んでいるではありませんか!
やば、鼻血出る…。



「なまえ、行こうか」
「うん、お兄ちゃん」



中学生にもなって、妹離れしないお兄たんのお陰で、わたしたちは未だに手を繋いだりしているわけだから、仲良し兄妹として、この辺りではちょっと有名です。
ま、わたし的には得以外のなにものでもないので、いいのだけど。
寧ろ鼻血が大変で、死活問題である。
まあ、そんなおいしすぎるシチュでしねるなら本望でい!

あ、ごめんお兄たん、ちゃんと走りますから!





**********

(吹雪視点)

僕には、双子の妹がいる。
髪の毛や目の色は違うけど、小さい頃からそっくりだと言われてきた、大事な可愛い妹だ。
中学生にもなれば、周りの子たちは、歳の近い兄弟とは特に話もしなくなるらしいけど、僕らは二人で一つのような―――二人でいなくちゃいけないような気がして、気が付けばいつも一緒に居た。
小さい頃に、事故で両親を亡くしたことも、関係があるかもしれないけど、なまえはたまに、凄く悲しそうな顔をする。
理由を尋ねてみても、ぼーっとしていただけ、とかなんとかで、いつもはぐらかされてしまう。
僕、お兄ちゃんなんだけどなあ。
事故のときだって、なまえが僕の腕を引いてくれなかったら、助からなかったかもしれないし。
なんて言うんだろうなあ。
小さい頃からなまえは、とにかく僕よりもかっこよくて、頼れちゃうんだ。
女の子だからとか関係なしに、サッカーだって凄く上手だし、学校では気が付いたらいっぱい人に囲まれてるし。
まあ、なまえは可愛いからなあ。
だから僕は、なまえに変な虫が寄り付かないように、目を光らせる毎日を送っている。
最近は、なまえの噂を聞き付けて、いろんな人が尋ねてくるから、余計に大変。
なまえはサッカーだけだと思ってるみたいだけど、芸能事務所とかからも誘いが来てたんだよ?
これ以上変な虫が寄り付いたら困るし、断ったけどね。
もちろん、なまえには内緒で。

あーあ、今日もお客さん来てるんだって?
やだなあ、なまえは僕のなんだから。
今日も早いとこ、帰って貰おう。



―――――ガラガラッ



「「ごめんねー、遅れちゃって」」
「あ、吹雪くんとなまえちゃん!」
「また二人、ハモってる!」



「お客さん、来てるよー」と、僕の右手からなまえの左手を奪っていった紺子ちゃんは、ご機嫌になまえに話し掛けた。



「吹雪、抑えて」


「え?
あ、ごめん、つい」



烈斗くんに止められて、無意識のうちに漏れてしまっていた殺気をしまうと、誰かが近づいてきた。



「あ、お前さっきの!」
「お前が熊殺しか!」



「ああ、がっかりさせちゃったみたいだね
みんな、大男だと思っちゃうみたいでさ」



さっき、なまえと遊ぶときに、忘れ物に気が付いて、僕だけ戻ったときに、彼らに会った。
FFで優勝した、雷門イレブンだ。
僕たちを尋ねてきてくれたみたいだ―――今日のはサッカー目的らしい。
なまえは………あ、まだ彼らには話し掛けられていないみたいだし、このまま噂は僕だということにしておいて、帰って貰おう。
ちょうどさっき、僕が山親父を倒したのを見ていたようだから、勘違いしてくれるだろうし。
あ、僕ね、なまえをちゃんと守れるように、FWの練習もしてるんだ。
なまえには内緒だけど。
白恋イレブンに、アイコンタクトをとると、みんな分かってくれたようで、頷いてくれた。
一人だけ状況が分からずに首を傾げているなまえ…可愛いなあ。

よし、グラウンドに行こうか。
そういって、雷門イレブンを案内し始めたはずなのに。



「お兄ちゃん、大丈夫だよ
屋根の雪が落ちただけ」



校舎の屋根から落ちた雪に、事故の恐怖がよみがえって、立ちすくんでしまった。
そんな僕を、すかさずなまえが手を握ってくれた。
ああ、また守られちゃった。



「なよなよしたやつだなー」



ふいに耳に入った言葉に、心臓を捕まれたような、冷たい悪寒が全身を走る。
僕は、なまえを守るんだから…!
強く、ならなきゃいけないのに。





「あなたに、雷門イレブンに入って欲しいの」





だから、雷門の監督に言われたその言葉は、僕の胸に凄く響いた。
なまえは僕の隣で箸を握りしめ、僕の顔を見ていた。
いくらなまえに聞かれたくない話でも、なまえを見ず知らずの奴らと一緒に残しておくわけには行かないし、雪合戦なんて危険すぎる。
なまえの顔に傷が付いたらどうしてくれるのさ!

僕の決断を、待っているんだろう。
なまえはただ、真剣な眼差しで、その瞳の中に僕を映していた。
僕の中で答えは決まっていた。
僕の実力をみたいと言った監督に、条件を突き付ければ、あっさりとOKをくれたし。
もう、迷うことはない。





僕の願い叶えるために、本来は実力を見るためだと設けられた、僕たち白恋イレブン対雷門イレブンの練習試合が行われた。
僕はそこで、DFとFWを切り替えながらプレーをするつもりだった。
なんで過去形なのかって?
それは、



「わたしも出たい!」



いつもは練習試合には参加したがらないなまえが、名乗り出てしまったからだ。



「なまえ、お願いがあるんだ」
「うん?なに、お兄ちゃん?」
「本気は出さなくたっていいんだからね?」
「…?」



可愛いなまえのお願いを断れるわけがなく、一緒に試合に出たのだけど、なまえはことごとくシュートを決めてしまった。
あちゃあ、まずいなあ。
これじゃあ、バレちゃうじゃん。





なんて考えている間に、練習試合は終了。
雷門の監督は、もう分かっているようだった。



「吹雪くん、あなたを正式に雷門イレブンに迎えたいと思います」
「よかったね、お兄ちゃん!」



僕の両手を握り締めて、飛び上がるなまえは、本当に嬉しそうで。
やっぱり、か、可愛いなあ。
さすが僕のなまえ!



「あの、約束は…?」
「……予想外の収穫だもの
断る理由がないわ」
「?」



一人、首を傾げているなまえを、さりげなく雷門イレブンの輪から外した僕は、一人ガッツポーズをした。

なまえは選手としてだけど、一緒にいられるようだった。

嬉しさの反面、僕は体全身からあふれ出てくる殺気が抑えられなかった。










宇宙すべてを繋いで君へ

(なまえ、一人で行動しちゃダメだよ!)
(もう、お兄ちゃんたら心配性なんだから
みんながいるから大丈夫だよ)
(そのみんなが一番危ないんだってば!)





なんだかよくわからない出来になってしまって申し訳ないです(;´∀`)
なまえちゃんは、雷門に着いていきたいんだからしょうがないですね。
士郎お兄ちゃん、どんまい。

寄り、と言う感じにはなってませんね……
で、でも相思相愛です!

なまえちゃんは、もちろんキャラバンに乗りたいので名乗り出ました!
かなり長くなってしまいましたが
最初のほう、腐女になってますかね…?

かなりお待たせしたのに、こんなダメ文ですみません…!

こんなやつですが、Nero e biancoと時松杏をよろしくお願いします。


お題:alkalismさまより


11_06_25