50000! | ナノ
※風丸成り代わり・女主





(円堂視点)

朝の眩しい光に照らされて、空色の髪が一つ一つ輝きながら揺れる。小さい頃からその光景は見慣れたものてあったけれど、未だに左胸の辺りが激しく波打つのは、しょうがないことだと思う。それに、なまえは滅多には笑わないけど、笑ったときの笑顔はもう、綺麗としかいいようがない。時折見せる、悲しげな表情もまた、なまえの魅力を際立たせる。小さい頃から、自分の中でなまえが普通の人とは違うように感じていたのは、今となっては当たり前のことだと思う。なまえは、俺の中ではなにものにも代えられない、特別な存在なのだから。恋は盲目というように、その人を好きになったらフィルターみたいなものがかかって、その人がとても輝いて見えて、その人しか見えなくなるらしい。俺だって、ずっとなまえしか見えてないわけだから、なまえに自然と目がいってしまうのは、強ち間違ってはいないわけだ。
平日の朝は、俺はいつも自分で起きられない。目覚まし時計はいつもセットしているし、起きようと努力はしている。でも、睡魔という達の悪いヤツが襲ってくるのだから、仕方がない。母ちゃんの声が何度も聞こえて、「起きなくちゃ」とは思うのだけど、「あと5分…」なんて言っているうちに、時間が来てしまって、なんてことはいつものこと。でも、俺には絶対に遅刻しない方法がある。それは―――――なまえに起こしに来てもらうことだ。朝目が覚めて直ぐになまえの顔を拝めるなんて、嬉しい反面心臓が止まりそうになる。でもそれが、絶対に一発で目が覚める方法だって母ちゃんも知っているから、中学生にもなっても未だに幼馴染が起こしにくるのだ。毎朝そうやってなまえが起こしに来てくれるわけだけど、俺の頭は毎朝リセットされてしまうから、毎日驚いてしまう。便利なんだか、馬鹿なんだか、分からないとあきれた顔でいつも母ちゃんは言う。いいじゃないか、俺はちゃんと起きてるんだから。母ちゃんにとってもプラスだし、俺にとっては心臓には悪いけど、なまえの顔が拝めることで寧ろプラスだし。うん、全然、全く問題ないよな。



つまり、今日も母ちゃんが叫ぶ声が聞こえている。



「守ー!
いい加減に起きなさーい!」



まだ完全に起きていない頭で考えることなんて、只でさえ頭が足りない俺には無理な話で。気が付いたらまた5分でも過ぎてしまいそうだけど、眠い。やばい寝ちゃう。そんなとき、心地いいソプラノが耳に入ってくる。



―――円堂、起きて。



俺はなまえが好きで、もう周りが見えなくなるくらい夢中なわけだから、なまえの声を聞き逃すわけがない。ねえ、分かった?だから俺は、例え寝起きで意識がもうろうとしていたとしても、飛び起きるんだよ。



「あ、なまえ…」
「早く起きてよ、円堂、遅刻するよ?」
「! おう」



寝起きだから、頭も寝癖だらけだし、あ、涎も滴れてた。こんな姿カッコ悪い。でも、毎日見られてるから、これはもう諦めるしかない。ベッドの上に起き上がって、立ち上がろうとする俺の頭は不意に捕まれて、あっという間に出来上がり、なまえがバンダナを付けてくれた。両手をバンダナに通して、そのまま俺の首に下ろして上げるという早業。わお、いつものことだけど、手際いいなあなまえは。なんて感心していると、なまえは困ったような、ちょっと眉を下がらせて振り替える。「円堂、早く」ごめん。急ぐから。



なまえが部屋を出ていってから、素早く着替えて下に降りる。「母ちゃん、おはよ!」「守、遅いわよ!早く朝ご飯食べちゃいなさい!」「はーい」あ、今日はパンだなんて珍しい。「あ、なまえも食べるか?」「わたしは、もう食べてきたから」と答えたなまえの横には俺となまえの通学バッグが置いてある。ちなみに、俺のバッグはなまえが準備してくれたようです。ほんとにいつもありがとう。



「なまえ!今日もいい天気だな!」
「そうだね
絶好のサッカー日和ってとこかな」
「!
えへへ、なんか嬉しくなってくるよなあ」



俺が思っていたことと同じことが、なまえの口から滑り出た。以心伝心って感じ!でも俺、自惚れすぎ?



「あ、」



なまえが何か言い掛けた時だった。










**********





―――円堂、起きて。



うん?なまえ?俺ならさっき起きたじゃんか…



「あ、れ」
「円堂、早く起きて
もう、みんな起きてるよ?」
「! そ、そうですか…」



俺の声は自信なさげに小さくなっていく。それを聞いて、キャラバン内に笑いが起こる。そうだ、今はイナズマキャラバンで旅をしてるんだった。じゃあ、さっきのは夢?いつも通りすぎて、分かんなかった。なまえは俺の隣で、俺の顔の前で手を振る。「もう、目、覚めたってば」「うそ、しゃきっとしてよね」なまえはいつの間にか外れていた俺のバンダナを取り出して、いつものように器用にはめた。なまえはさりげなく、なまえの身体で壁を作り、みんなに見えないようにタオルで俺の頬を拭うと、口パクで「爆睡だったよ」と伝えてきた。優しいなまえのことだから、ギリギリまで寝かせてくれてたんだろうな。



「なんか、風丸せんぱい、キャプテンのお母さんみたいですね!」
「そう?
………慣れ、かな」
「さすが幼馴染って感じですね!」



なまえは、家族と俺以外の人には、名前で呼んだりしないし、呼ばせたりもしない。なんでかは分からないけど、小さい頃聞いたら「名字の方がかっこいいから!」と言っていた。まあ、いいや。そんな細かいことは気にしない!それに、俺だけ特別のような感じがして、気分がいいし。まあ、最近恥ずかしいからと俺のこと名前で呼んでくれなくなったのは悲しいけど。



「なまえー」
「うん?
なに、円堂…?」
「まだ、眠い、」
「ええ?ちょ、ちょっと円堂?
あー、もう…しょうがないなあ」



幼馴染とか、天然とか、キャプテンとか、使えるものは使わなきゃ損だからな!俺は存分に我儘言うぞ?なまえが気付くまで、長期戦になりそうだけどな。










ひだまりの下に咲うよう

(君の心の悲しみが浄化されるのなら)
(俺はいつまででも隣で笑うよ)





なんか、ごめんなさい。
明らかに前半部分いらない…。
これ、二期じゃなくてもいいだろって感じですよね。
ダークエンペラーズ辺りを入れると、シリアスな感じになってしまうかと思ったので、避けてみたんですが…。
なんか円堂くんが気持ち悪くなってしまった…。
風丸さんはおかんな感じです。
一応、両思いなはず。

ほんとすみません、時間かかったくせにこんなものになってしまって…。
テスト期間だったとか言い訳を少々…。
もっとイナイレの方も勉強してきます!(りきむ)

これからもNero e biancoを、時松杏をよろしくお願いします(´`)


お題:alkalismさまより


11_06_05