中篇 | ナノ

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取り引き成立。

その後、円堂くんは顧問となってくれた冬海先生を巻き込んで、サッカー部を設立することに成功した。

入部届けも、無事提出出来たので、わたしも怒られずにすんだ。


次の週、わたしが受け持つ理科の授業はどのクラスもオリエンテーションの授業が終わったので、理科室での授業が増えてきた。

わたしは、次のクラスの授業で使う実験道具を捜し出し、準備をしていたのだけど。

授業の進め方や、課題等、以前考えておいたことをまとめた大事なノートを、職員室の机に置いてきてしまったことに気が付いた。


ちょっと忘れ物、と理科室を飛び出し、普段はわたしが生徒に廊下は走らないと教えていたはずなのに、わたしが走っていた。

口煩い生活担当の先生に見つかったら厄介だから、見つからないように祈ろう。

ノートを見つけ、また走りだそうとしたとき、今度は副担任をしているクラスの担任先生に呼び止められた。

朝のHRで、お知らせのプリントを配り忘れたらしい。

そんなの、後でいいのに。

そう言いたくても、わたしの口からは出せないし、大事なプリントなんだと言われてしまった。

そうしているうちに時間が惜しくなり、仕方なく受け取ると、わたしはまた急いで走りだした。


ああ、チャイムがなる!


スピードを上げようとしたときだった。



「あれ?みょうじ先生?」
「半田くん?
………あれ、次わたしの授業でしょ?
なんで廊下に…」
「俺、忘れ物取りに行ってたんすよ
……あれ、もしかして先生も同じ?」



ストーリーを進める上で、大事な人物・半田くんに出会った。

そういえば、彼は雷門イレブンの初期メンバーだけど。

サッカー部に入ったんだろうか。

もし入ってないんだったら、話さなきゃ。

でも、今そんな暇ないしなあ。



「先生、持とうか?」
「え?
大丈夫だよ、大丈夫
それより、チャイム鳴っちゃう」
「だから余計にだってば」



俺男だし、大丈夫だって。

急がないと先生も遅刻しちゃうって。


苦労が多いわたしだけど、優しい子に恵まれたみたいだ。

でもやっぱり、みんな敬語は使おうね。










躍世界

(先生も一緒なんだから、遅刻じゃないよね?)