中篇 | ナノ

▽ 3






「たいちゃん!」
「!
だから、その呼び方やめろって言ってるだろ」
「えー
いいじゃん別に、減るもんじゃないし」
「お前にとっては減らないかもしれないが
俺にとっては確実に何か減るから!」



ある日の放課後、部室に向かっていたなまえに対して、本気で拒絶の意を表しているたいちゃん―――――もとい三国太一は、なまえより一つ歳上な幼馴染みである。

小さい頃からどこか暖かい、母性のようなものを持っていて、なまえの第二の母親みたいな感じだった。


小さい頃からの名残で、なまえはいまだにたいちゃんと呼び続けているのだけど、どうやら思春期故に、三国は恥ずかしいらしい。



「でも今更三国先輩とか言いにくいし…」
「慣れろ」
「なんか最近、たいちゃんわたしに対して厳しいよね?!」
「だからなあ!」



真っ赤な顔で否定を主張する三国は、歳上のはずなのに、なまえには何処か可愛く見えて。

なんだか面白くて、なまえは小さい頃と同じように、三国の頭のもじゃもじゃに触れると、三国は諦めたのか、溜息を吐きながらも撫でさせてくれた。



「お前はかわらないな」
「??」



もじゃもじゃー〜

なまえはおそらく頬をだらしなく垂らしながら、三国の頭を撫でていると、後ろから駆け寄ってくる足音が聞こえた。



「あ、みょうじさん?
なに、してるんですか?」
「三国、先輩??」

「うわあ?!天馬に西園?!
ち、違う!これはだな…!」
「あはは、たいちゃん真っ赤ー」
「こら馬鹿なまえ!
お前のせいだ!」



顔を真っ赤に染め上げたたいちゃんに言われても、説得力ない。

そう、なまえが答えると、どうやら余計に怒らせてしまったようで。

なまえの頭に容赦なく鉄槌が落とされた。

痛いよ、たいちゃん。











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