中篇 | ナノ

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「休憩でーす!」
「しっかり水分摂ってくださいね」



水鳥曰く、水鳥は松風の私設応援団みたいなものだから、マネージャーの仕事はしないと主張しているから―――マネージャーは実質3人である。

前のマネージャーは一人もいないから、なまえたちはほとんど手探りでマネージャー業をしている。

だから、うまくいかないこともあるわけで。

前なんて、ドリンクの分量を間違えてしまって、南沢には難癖を付けられて、胸にグサグサと刺さった。

最近分かったことだけど、顧問の音無先生は雷門中の卒業生で、サッカー部のマネージャーをしていたらしく、分からないことはアドバイスをくれる。

まあ、先生も忙しいから、たまにしか頼れないのだけど。



「シン様…!」
「こら、茜
神童くんばっかり撮ってないで、仕事する!」
「……なまえちゃんの鬼、」
「なんとでもいいなさい」



山菜茜は、雷門サッカー部キャプテンの神童にお熱である。

ちなみに彼女の趣味は写真を撮ること。

でも、その被写体は9割神童である。

軽く盗撮……、ファンの子にせがまれているらしいが、茜は誰にも売ったことが無い。

相当、神童くんのことが好きなのである。

まあ、やってることは犯罪じみてるけど。

神童くんを見つめる茜の顔は、可愛い可愛い恋する乙女の顔をしていて、なまえは陰ながらに応援しているのだけど、奥手な彼女だから……道は長そうだ。



「はい、天馬!信助!」
「「ありがとう!」」



なんだ、なんなんだあそこの可愛い光景は!

天使か、天使なのか!


きっと今のなまえは、一年ズの可愛さに頬がだらしないほど垂れ下がっていただろう。











SUCCESS!