親が払ってくれている、近所では少し有名な、洒落たデザイナーズマンションの一部屋に、わたしは住んでいる。
生活費は、近所のカフェで稼いだ微々たるものでは到底賄えないから、自分でも申し訳ないくらい両親に頼っている。
(設備がいいマンションでないと一人暮らしはさせないと、お父さんが言ったからなのだけど)
そんなくらい、まあ普通といえば普通の社会人一年生。
大学へ入る気は無かったし、それに夢は決まってないし、今時の若者の代表のような人間だ。
とりあえず親に促されるがまま、会社の面接は受けているけど、この不景気だからか、受かったためしがない。
とにかく、その日一日だけの目標をたて、生きているようなものだ。
わたしみたいな人のことをジャッポーネでは、フリーターというらしい。
「………」
「おい、何つったんてんだ、コラッ」
ちなみに、彼氏はいない。
毎日のように、不法侵入擬いなことをして家に来るやつはいるけど。
やつの名前はコロネロ。
いつも語尾に何故か「コラッ」が付く、変わった人だ。
ちなみにわたしとコロネロは幼馴染という名の腐れ縁であって、子どもの頃から不思議と一緒に居た。
相手の考えていることは大体は分かるし、好き嫌いなんてことも当然分かる。
自分のことを考えるとき片隅には必ずと言っていいほど、コロネロならどう思うか考えてしまう自分が凄く嫌だ。
「なにって………勝手に人の家のベランダに入ってる人には言われたくないんだけど」
「とにかく部屋に入れろ、コラッ」
「はあ………毎朝毎朝、暇なの?」
「軍を抜け出してくるのは簡単なわけじゃないぜ、コラッ」
(馬鹿だ、馬鹿だコイツ。)
伊海軍に入っているコロネロは、地元では親孝行だとか、国のためだとか、いろんな理由で有名な人になっている。
例え国のためだとしても、いつ命を落とすか分からないような仕事をするなんて、頭がおかしいんじゃないかとかわたしは思ってたりもする。
それに軍隊なんて自由が無い。
朝から晩まで忙しく動いてるはずなのに、どうして彼は毎日のようにわたしの家に来るのか。
―――――わたしには分からない。
「…ねえ、わたし着替えるんだけど」
「だからなんだコラ」
「察してよ馬鹿、」
わたしの寝室の窓から入ってきたコロネロは、ずかずかと土足で部屋をぐるりと周り、わたしの体温がまだ残るベッドに腰掛ける。
(いくら幼馴染でも、度を越えてるでしょうが)
あんたはいつまでも子どものつもりなのか。
大人になりたくないってか、このピーターパン症候群が。
第一、この設備のいいマンションの窓は二重ロックなのだけど、一つ開いていた。
(犯人は言わなくても分かってる)
外から開けられた場合、警報機が鳴るはずなんだけど。
海軍調子かコラ。
あ、口癖移った。
「ちょっと、」
「……」
「ねえってば、ッ」
「………」
「もう、コロネロ!」
「なんだ、コラッ」
(名前で呼ばないと返事をしないなんて、)
(まったく、なんなの)
「朝ご飯作ってあげるから、先に下に降りててよ」
「着替え、手伝ってやろうかコラ」
「結構です」
ぐいぐいと、無理矢理コロネロを追い出した。
はずだった。
「なまえー」
「ちょ、馬鹿ッ!
何入ってきてんの?!」
「別に、いいだろコラッ」
「どこがいいのよ!
ちょ、ちょっと…!」
目の前に広がるのは
恋する極彩色
(おい、鈍感
いい加減に気付けコラッ)
(はあ?
え、何処触って…!)
よくわからんなあ
コロネロとか、ディーノさんとかフランとか
イタリアの人もすきだ!
・・・最近re!の本命誰なのかわからんくなってきた
お題:alkalismさまより
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